官民人事交流
官民人事交流とは?
「官民人事交流」とは、「国と民間企業との間の人事交流に関する法律」(官民人事交流法)に基づき、透明性・公開性を確保した公正な手続きの下、公務の公正な運営を確保しつつ、民間企業と国の機関との人事交流を推進する制度のことです。民間企業と府省という行動原理の異なる組織間での人材交流を通して、官民の相互理解を深め、双方の組織の活性化と人材の育成を図ることを目的としています。2000年3月の制度施行以来、民間企業が同制度を利用した実績は約460社(13年12月現在)に達し、官民人事交流は着実な拡大傾向を示しています。
保険会社から大使館へ! 交流実績は多分野に
民間にはない“国”の視点や論理を学ぶ好機
「官民人事交流」は、民間企業が、(1)期間を定めて、自らの従業員を国の正規職員として送り出す「交流採用」と(2)期間を定めて、国家公務員を自らの従業員として迎え入れる「交流派遣」の二つのしくみから成り立っています。それぞれの身分や任期、給与、処遇などは次の通りです。
(1)交流採用(民間企業から国へ)
【身分】国の正規職員として採用(民間企業をいったん退職する「退職型」と民間企業の従業員の身分を併有して在籍出向する「雇用継続型」がある)
【任期】原則3年以内(5年まで可)
【給与】国が支給
【処遇】国家公務員に適用される諸制度を適用
(2)交流派遣(国から民間企業へ)
【身分】国家公務員の身分を保有したまま派遣先企業の従業員として雇用
【任期】原則3年以内(5年まで可)
【給与】派遣先企業が支給
【処遇】年金と雇用保険を除き、派遣先企業の従業員に適用される諸制度を適用
交流採用者および交流派遣者は任期中、それぞれ交流先の業務に専念し、期間終了後は派遣元の業務に復帰します。
同制度の交流対象となる民間企業は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、相互会社、信用金庫などです。2014年5月の官民人事交流法改正により、対象となる民間企業の範囲が拡大され、新しく一般社団法人や一般財団法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などの法人も交流対象に追加されました。
人事院の発表によると、13年に民間企業が国の機関に送り出した新規の交流採用者は、17府省215人と過去最多で、制度開始以来の採用者数はのべ936人に達しました。13年に交流を実施した企業の事例を見てみると、旅行会社のJTBから経済産業省へ、玩具メーカーのタカラトミーから厚生労働省へ、四国電力から財務省へ、など。ユニークな事例では、明治安田生命保険相互会社の社員が在ハンガリー日本国大使館の一等書記官として赴任しています。
一方、13年に民間企業が国の機関から迎え入れた交流派遣者の数は13府省70人。制度開始以来の派遣者数はのべ403人となっています。主な事例としては、厚生労働省からあいおいニッセイ同和損害保険株式会社へ、特許庁からユニ・チャームへ、総務省からITのインテルへ、経産省からコンビニエンスストアのローソンへ、など。こちらも多業種にわたって人事交流が進んでいます。
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