同一価値労働同一賃金
同一価値労働同一賃金とは?
同一の価値を持った仕事に対しては、同一の賃金を支払うという原則のこと。「Pay Equity/ペイ・エクイティ」とも呼ばれています。
正社員とパート間の賃金格差や
女性の非正規雇用の拡大などで社会問題化
「同一の価値とみなされる労働には同一の賃金を支払う」という原則で、例えば、看護師や司書(図書館などで専門的事務を行う職業)のように女性が多い仕事や、医師や消防士といった男性が多い仕事など、性別的役割分業が賃金の差別に結びつくことに対抗する考え方として登場しました。
仕事の価値については、(1)責任(2)労働環境(3)知識・技術(4)肉体的・精神的負荷という4つの要素で評価することが一般的とされていますが、その価値を評価するのは誰か、また、その評価に客観的基準があるのかということが課題とされてきました。結局、使用者にとって同程度に価値があると認められた労働が同じ賃金ということになりかねず、職種・職務給制度の中に吸収され、真に有効な男女の賃金格差是正のためにならないという指摘もあります。
法的根拠としては、「使用者は国籍・信条または社会的身分を理由として賃金、労働時間、その他の労働条件について差別があってはならず(労働基準法3条)」、「女性であることを理由に賃金に差別があってはならない(同法4条)」などがあります。しかしながら、日本の労働市場では未だ、正社員でも女性社員の賃金水準は男性社員の60%程度であり、その他にも正社員とパート間の賃金格差、女性の非正規雇用の拡大などの問題が、しばしば取りざたされています。
日本政府は、「同じ価値の労働なら性別に関係なく同じ賃金」を定めた国際条約を批准していますが、その価値の評価については何ら具体策を出していません。こうした日本の現状に対し、国際労働機関(ILO/International Labor Organization)は、「法令の形で表明することを希望する」との見解を公表しています。
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