チェンジカーブ
チェンジカーブとは?
「チェンジカーブ」とは、人が大きな変化に適応するまでの心理的プロセスをモデル化したもの。チェンジカーブのほか、「チェンジジャーニー」「トランジションカーブ」「トランジションモデル」といった呼び方もあります。米国の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス氏が提唱した「悲しみを受け入れるプロセス」をもとに、研究者やコンサルタントなどが変化を受け入れるプロセスとして発展させました。チェンジカーブは、「チェンジマネジメント」が必要とされるシーンで活用されています。
変革を成功に導く鍵となる
変化を受け入れるまでの8ステップ
「変革」というとポジティブな響きがしますが、実際の変革は痛みを伴う作業の連続です。これまで慣れ親しんだ慣習や文化を変えるとなれば、過去の自分たちが否定されたような気持ちになったり、どうなるかわからない未来に恐れを抱いたり反発したり、場合によっては会社を去る決断をする人もいるでしょう。
変革を成功に導くためには「チェンジマネジメント」を知っておく必要があります。チェンジマネジメントとは、あるべき姿と現状のギャップから経営課題を見つけ出し、さまざまな組織変革のフレームワークを用いて、課題解決に取り組む手法のこと。そして、チェンジマネジメントを実践する際に、変革のプランを立てるときの考え方の基盤になるのがチェンジカーブです。
変化に直面した人は、いくつかの心理的プロセスを経て変化に適応していきます。「否定」や「怒り」の段階では、突然の会社からの通達に、「そんなことはないはずだ」と否定したり怒ったりします。次に「抵抗」や「落ち込み」といった段階に入ります。どうにか変化を回避できないかと抵抗するものの、回避できないことがわかり、落ち込むのです。その後は、徐々に事実を「受け入れ」、新しい環境で何かできないか「試みる」段階に。そしてやりがいや楽しみを「発見」し、最終的には「統合」という段階をもって変化を日常に取り込みます。
八つのフェーズを紹介しましたが、必ずしも全ての段階を経験するとは限りません。ネガティブな反応が少なく、すぐに「受け入れ」「試み」に向かう人もいれば、なかなか「落ち込み」から抜け出せない人も。大切なのは、人によってチェンジカーブの緩急やスピードが異なることを認識しておくことです。
チェンジカーブを知ることで、マネジメント側は各フェーズに適した対応策を練ることができます。新しいツールを導入するとき、さまざまな制度を刷新するとき、事業を撤退したり買収したりするときなど、大きな変化が必要な局面には、従業員は少なからず動揺するもの。そのときに従業員の気持ちが離れてしまわないよう、心理的なプロセスを把握して適切な施策へとつなげると良いでしょう。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。