ビジネスインパクト分析(BIA)
ビジネスインパクト分析(BIA)とは?
「ビジネスインパクト分析」とは、災害などで業務やシステムが停止するなど緊急事態が起こった場合に、事業にどのような影響があるのかを分析すること。英語では「Business Impact Analysis」と表記し、頭文字をとって「BIA」と呼ぶこともあります。BCP(事業継続計画)を作る際、災害時の事業の優先順位を決めておく必要があり、その指針となるのがビジネスインパクト分析です。効果的なBCPを作成するためにも、ビジネスインパクト分析を正確に行い、想定できるリスクや対策を洗い出しておくことが大切です。
不測の事態に会社はどこまで耐えられる?
ビジネスインパクト分析の三つの手順
事故や災害は、いつ起こるかわかりません。東日本大地震や新型コロナなど、この10年ほどでも社会を揺るがす非常事態が起きています。たとえば災害によって工場の設備が破損したり、従業員が出勤できなくなったりすると、通常と同じ量・質・ペースでのサービス提供はできなくなります。業務停止による損失を最小限に抑えるために、あらかじめビジネスインパクト分析で非常事態における影響を把握し、不測の事態に備えておくことが大切です。
ビジネスインパクト分析を行う際の手順は、大きく三つに分けられます。まずは、リスクを洗い出すこと。業務が止まってしまう要因は、自然災害やパンデミックのほかにも、システム障害、不祥事、ストライキ、テロなど、さまざまなものが考えられます。特に事業への影響が大きいリスクを想定し、消費者や取引先への影響度、社会的信頼や公共性などを考慮した上で、優先的に業務を維持する「中核事業」を決定します。
続いて、ビジネスへの影響を考慮し、業務停止を許容できるリミットである「最大許容停止時間」、復旧に要する時間の目標値である「目標復旧時間」を定めます。
時間軸を検討した次は、必要なリソースを特定します。優先度の高い業務を継続する際に、どのような人材、情報、物資などが必要となるのかを洗い出すのです。その際に重要なのは、業務自体に存在するリスクと、外部環境により発生するリスクの双方の対策を考えること。前者は従業員やシステムなど、継続に必要な資源の把握とその代替手段の確保を検討します。後者は自然災害などによって設備が壊されたり、電気や水道などのインフラが止まったりした際の対応を考えます。
ビジネスインパクト分析が正確ではない場合、BCPを作っても機能しない可能性があります。備えあれば憂いなし。万が一の事態に陥っても早期に復旧できるよう、正確なビジネスインパクト分析を行い、効果的なBCPを策定することが重要です。
参考:中小企業BCP策定運用指針│中小企業庁
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