ワーク・ファミリー・コンフリクト
ワーク・ファミリー・コンフリクトとは?
「ワーク・ファミリー・コンフリクト」とは、仕事と家庭生活で求められる役割が両立せず、葛藤を感じる状態にあることをいいます。家庭を持ちながら働く人たちは、職業上の役割と、家庭での親や配偶者としての役割を果たさなければなりません。ワーク・ファミリー・コンフリクトは、時間的制約、緊張や疲れによる葛藤、行動様式が異なることへのストレスなどが要因といわれており、子供を持つ母親の就業率の増加や、離婚によるシングルマザー(シングルファザー)の増加から問題視されるようになっています。
仕事と家庭で葛藤するワーク・ファミリー・コンフリクトを解くには
すでに多くの人が知っている「ワーク・ライフ・バランス」は、仕事とプライベートの両立という意味で使われますが、その「プライベート」が独身生活であるか、育児中であるかどうかなどによっても悩みの性質や総量は変わってきます。
ワーク・ファミリー・コンフリクトは、仕事上の役割と家庭上の役割(配偶者として/親として)の両立がかなわないことからやってくる葛藤。仕事が家庭に与える影響と、家庭が仕事に与える影響の、二つの方向性があります。例えば、仕事で絶対に参加したいプロジェクトがあったのに、子供が熱を出して休まなければならなかった。仕事が忙しく、前から計画していた家族旅行を中止しなければならなかった、などといった状態が例として挙げられます。
1970年代以降の米国で研究が進んできましたが、その背景にあるのは、女性の社会進出。これまでの研究では、就学年齢未満の子供を持つ共働き夫婦で、特に女性にワーク・ファミリー・コンフリクトが高いことがわかっています。
「男性は外で仕事、女性は家を守る」という性別分業意識は、すでに過去のものとなっているように思えます。しかし実際には、親世代が旧来的な価値観を持っていて介入してきたり、子供を置いて仕事に出かけることに女性のほうが罪悪感を覚えやすかったりするなど、若い世代でも性別分業意識が内面化していることは少なくありません。
そんな葛藤を軽減するために、企業はどうすればいいのでしょうか。性別分業意識が問題となっている場合、アンコンシャスバイアス研修を実施したり男性の育児休業を推奨したりするなど、会社としての方針を提示するのが有効です。労働時間や仕事の難易度が問題である場合は、時短勤務やフレックスタイム制の導入などで解決できることもあるでしょう。本人たちは「仕事の比率を下げたら、出世コースから外されてしまうのでは」と不安に思っています。 葛藤をとくカギは「柔軟さ」。従業員のライフイベントに寄り添い、働く時間や内容など、柔軟に対応できる環境を整備して周知することが大切です。
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