ローカス・オブ・コントロール
ローカス・オブ・コントロールとは?
「ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)」とは、日本語で「統制の所在」とも言われ、行動を統制する意識が内(自己)にあるか外(他者)にあるかを分類する考え方のことを言います。頭文字をとって「LOC」とも呼ばれます。米国の臨床心理学者ジュリアン・ロッター氏によって提唱されました。あらゆる行動や評価の原因を内と外のどちらに求めるかによって「自己解決型」と「他者依存型」の二つに分けられます。自分や他者のローカス・オブ・コントロールを把握することで、有効なコミュニケーションスタイルの選定などに役立ちます。
「他責はダメだ」と言うけれど
自責思考の落とし穴とは?
同じ出来事が起こっても、どう解釈するかは人それぞれ異なります。テストの点数が低かったとき、「自己解決型」の人は、「自分の努力が足りなかった」と結果の原因を自分の中に見いだすでしょう。一方、「他者依存型」の人は、「今回のテストは異常に難しかった。出題者に意図がありそうだ」などと考える傾向があります。
ビジネスにおいても同様に「自責思考」や「他責思考」という考え方が浸透し、成長のためには自責思考が欠かせないといった言説もみられます。自己解決型(自責思考)の人は、自分自身の行動とその結果は自分で統制できると考えるため、成長へのモチベーションが高く、良い成績を上げやすいと考えられています。それに対して他責思考(他者依存型)の人は、物事の成否を決めるのは状況や運次第だと考えるため、ときに言い訳がましく聞こえ、職場では嫌がられることもあります。
自己解決型にも他者依存型にも一長一短があり、どちらが良いわけではありません。過剰な自責思考はメンタル面に影響を及ぼし、パフォーマンスを下げたり、行動するための自信を奪ったりすることもあります。
事業はさまざまな要因が複雑に絡み合って、結果を生み出しています。昔からの顧客に契約の終了を告げられたとき、「自社サービスで改善できることは何か」を考えることは大切ですが、顧客側の財務状況が悪いことが理由かもしれません。全てを自責にしていては解決できない課題もあるのです。
ローカス・オブ・コントロールは、研修やコーチングのためのコミュニケーションスタイルの選定にも用いられます。自分自身やチームメンバーの傾向を知ることで、足りていないほうの思考法を補うための取り組みや、メンバーへの有効な声掛けができるようになるでしょう。
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