組織心理学
組織心理学とは?
「組織心理学」とは、応用心理学の一分野で、組織における人間行動を科学的に研究する学問です。組織という特殊な状況の中での人の行動を解明するには、従来の心理学だけでは不十分だとして1960年代に発展しました。個人とそれを取り巻く組織環境の中での人の行動や、職場の生産性向上、従業員の身体的・精神的健康といった問題に焦点を当て、心理学の理論や原理を用いて研究します。
同僚の活躍を心から喜べないのはなぜか?
会社の人間関係を円滑にする組織心理学
プライベートと仕事のときを比べると、その行動が別人のようだといわれる人も多いのではないでしょうか。オンとオフで違った顔を見せるのは、不思議なことではありません。会社の中という特殊な環境下では、上下関係や集団力学などの影響により、プライベートでは見られない行動を取ってしまうことが十分あり得るのです。
例えば、妬み(ねたみ)という感情。昔からの知人が仕事で活躍しているのと、自部署にいる同じ職種の同僚が活躍しているのとでは、感じ方が異なるはずです。自分が得意だと思っていた領域で自分以外の人が存在感を発揮していると、居場所が脅かされるようで人は強いストレスを感じます。すると、相手のことを陰で悪く言ったり情報を回さなかったりするなど、足を引っ張る行動に出てしまうこともあります。その結果、チームの雰囲気が悪くなり、パフォーマンスをあげづらい環境になってしまいます。
こんなとき、組織心理学の知識は有用です。立命館大学 スポーツ健康科学部 教授の山浦一保さんは、「妬みの感情を解消するには、居場所を作ってあげることが重要」だと話しています。本人の得意な領域を発揮できる場所があれば、妬んでいる相手ではなく、自分自身の役割に目を向けられるようになるからです。
この例は、組織心理学の中でも働く上でのネガティブな感情を切り口にしたものですが、その他にも、従業員満足度、モチベーション、コミットメント、マネジメント、リーダーシップ、組織文化、ハラスメントといった多様なテーマで研究が進んでいます。
人の悩みのほとんどは、人間関係によるものだといわれています。組織心理学を学ぶと、さまざまな理論を元に、組織の中にある慣例を理解したり、課題の解消法を発見しやすくなったりするなど、役立つことも多いでしょう。組織での個人間相互作用を科学的に解明し、組織の発展につなげることができる学問といえます。
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