シフト制
シフト制とは?
「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1ヵ月など)ごとに作成される勤務シフトで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態のこと。厚生労働省は2022年1月に、使用者がシフト制で勤務する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項を新たに取りまとめ、公表しました。
シフト制ルールを知った上で労働契約を
使用者向けのチェックリストも
シフト制は、パートタイム労働者やアルバイトを中心に用いられる勤務形態。そのときの事情に応じて柔軟に労働時間を設定できるため、使用者にも労働者にもメリットがある仕組みです。しかし、使用者の都合で労働日がほとんど設定されなかったり、希望を超える労働日数が設定されたりするなどのトラブルにつながることもあります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、経済は打撃を受けました。シフト制労働者の中には、コロナ禍で大幅に勤務シフトが減らされ、生活が困窮したという人も少なくありません。
そのような中、厚生労働省は2022年1月に「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を取りまとめました。以下に内容を一部抜粋します。
■ 労働条件の明示
労働契約の締結時には、労働者に対して次の労働条件を明示しなければいけません。
・契約期間
・期間の定めがある契約を更新する場合の基準
・就業場所、従事する業務
・始業・終業時刻、休憩、休日など
・賃金の決定方法、支払い時期
・退職(解雇の事由を含む)
使用者は、これらを書面で労働者に明示しなければなりません(ただし労働者が希望した場合は電子的な方法でも可)。
特にシフト制労働契約においては、「始業・終業時刻」と「休日」の扱いに注意が必要です。契約の締結時点ですでに始業と終業の時刻が確定している場合は、労働日ごとの時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載し、契約締結と同時に一定期間分のシフト表を労働者に提示する必要があります。休日に関しては、具体的な曜日が確定していない場合でも、休日の設定への基本的な考え方などを明記する必要があります。
留意事項の資料には、シフトの作成・変更・設定などについて使用者と労働者でルールを決めておくことが記されています。シフト作成時に労働者の意見を聞いたり、一度決まったシフトを変更するために使用者や労働者が申し出をする場合の期限を設けたりするなど、トラブル防止のため所定の手続きを定めておくことが推奨されています。
他にも、1日の労働時間に対する休憩時間の長さや年次有給休暇、雇い止めや解雇にかかる注意点なども留意事項に記載されています。
なお、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「始業・終業の時刻」や「休日」に関する事項などについて就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
使用者と労働者の双方が法律で定められたルールを知ることにより、未然にトラブルを防ぐことができます。厚生労働省が発行している使用者向けのリーフレットには、「シフト制労働契約簡易チェックリスト」が掲載されています。シフト制を採用している企業はチェックしてみてください。
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