過程の公平性
過程の公平性とは?
「過程の公平性」とは、報酬を決定するために必要な手続きにおいて、労働者に公平感や納得感のある状態のこと。「分配的公平性」と「手続き的公平性」に分けることができ、前者は、給与や昇進・昇格、配置転換など、配分される経営資源が公平性の対象です。後者は、配分を決定する過程への労働者のかかわり方や度合いを対象としています。人事評価過程における透明性は、働く人の満足度にプラスの影響を及ぼすことがわかっています。
成果主義は本当にフェア?
「分配」と「過程」から考える公平性
「成果主義」と聞いて、あなたはどのようなイメージを思い浮かべますか。自社に利益をもたらした人により多くを還元する、フェアな制度でしょうか。
日本ではバブル崩壊後の経済低迷を機に、それまでの年功序列型の賃金体系を変えなければならないという論調が高まり、従業員が一生懸命働くことのインセンティブになりうる賃金体系として、成果主義に期待が集まりました。
しかし、成果主義の導入に伴い、見えてきた課題もあります。その一つが、評価が不正確だったり納得感がなかったりすると、かえって従業員のモチベーションを押し下げてしまうこと。一口に「成果」と言っても、予算達成率のように明確に数値化できるものもあれば、定性的に評価せざるを得ないこともあります。自分では成果を上げたつもりだったのに、上司の一存で低評価をつけられ、さらにその理由に納得感がなければ、やる気を失ってしまうのも当然でしょう。
では、「過程の公平性」を保ち、従業員に気持ちよく働いてもらうためには、どうすればよいのでしょうか。一つ目の分配的公平性について、ジョン・ステイシー・アダムス氏は、「(自分の報酬)/(自分の生産性)=(他人の報酬)/(他人の生産性)」という等式が成り立つときに、分配的公平性が確保されていると定義しました。生産性の程度に基づいて処遇を決めることで公平性を保つことができる、ということです。
二つ目の「手続き的公平性」に関しては、評価に関する手続きに公平性があることを示しています。学習院大学の守島基博教授は、評価基準がすべての労働者に開かれており、納得がいかなければ誰もが申立てを行うことができることを挙げています。評価基準の公開や、評価結果のフィードバックなど、人事評価のプロセスをオープンにすることで、評価される側に納得感を与えるのです。
働き方や雇用形態など、労働のあり方が多様化している今、「公平」をどのように定義し、実現するのか。社会全体の課題とも言うことができ、今日も研究が進められています。
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