後知恵バイアス
後知恵バイアスとは?
「後知恵バイアス」とは、物事が起きたあとで「そうだと思った」などと、まるでそのことが予測可能だったと考える心理的傾向のことをいいます。プロセスや戦略そのもの以上に、結果によって印象が左右されているのが、後知恵バイアスがかかっている状態です。実際の結果以外に起こりえたかもしれない別の事象を考えることで、バイアスを軽減させられると言われています。
「やっぱりな」「だから言ったのに」
その発言、後知恵バイアスかもしれません
「やっぱりな」「だから言ったのに」が口癖になっている人は、周囲にいないでしょうか。事前に予測できることと、事後の確定事項を混同してしまうことで、予測できないことまで予測できていたかのように振る舞い、威圧的な態度をとる。そんな人から感じる理不尽さは、後知恵バイアスによって不当な評価を受けていることによるものでしょう。このように、後知恵バイアスは人を評価するときの公正さを欠いてしまう恐れがあります。
この理不尽さは、職場にもたびたび出現します。例えば、上司に経過をきちんと報告していたのに、悪い結果が出たあとで「なぜそうしたんだ!」と後出しじゃんけんのように叱責(しっせき)される。こうした発言の多い人は後知恵バイアスが働いているのだと認識することで、発言を真正面から受け止めず、過度に自責することもなくなるかもしれません。
しかし、無意識の行動だからこそ「バイアス」と呼ぶように、自分が後知恵バイアスのかかった言動をとってしまう可能性もあります。人は誰でも「物事が起こる前の自分」を忘れがちです。しかし、予知できないことへの一抹の不安はいつも抱えています。不安を抱えている状態を覚えていることで「やっぱり思った通りだ」と意識をすり替えてしまうのです。
後知恵バイアスを減らすには、どうすればいいのでしょうか。まずは、「知る」こと。常識やバイアスは、知らず知らずのうちに自分に身についてきた「ものの見方」です。無意識での価値観は、まず認識することから始まります。職場で「後知恵バイアス」を互いに意識できるよう、「それは後知恵バイアスじゃない?」と伝え合ったり、自問自答したりするとよいでしょう。また、誰かに「だから言ったのに」と言いたくなっている自分を認知したら、起こりえた「別の可能性」について思いを巡らせてみるのも一つの方法です。
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