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個人主義で育った中堅社員を真のリーダーにするには-2

1.エンプロイアビリティの呪縛

新卒就職市場を概観しますと、90年代のバブル経済崩壊後、氷河期、超氷河期と呼ばれた深刻な時期は2004年まで続きました。その後2009年まで上向いたものの、2010年ゆとり世代初入社の年には新氷河期と言われるように厳しさが再来して現在に至っています。

この時期を語るキーワードにエンプロイアビリティがあります。エンプロイアビリティとは「employ(雇用する)」と「ability(能力)」が組み合わされた造語で、雇用されうる能力、どの会社でも通用する遂行能力のことです。エンプロイアビリティという言葉が日本で一時期注目されたのは、恐らく1999年に日経連が発表した「エンプロイアビリティの確立を目指して」の報告書あたりだったと思います。報告書の副題は、「従業員自律・企業支援型の人材育成を」となっており、雇用が不安定な中でのキャリア自立に特化した元々のアメリカ型とは趣を異にした「育成」を含んだ概念でした。

しかし、長期化する経済不振の中、長期雇用と年功序列神話が崩壊し、売り上げの減少と利益の減少が、企業の人材育成費の激減をも招いた社会状況の中、エンプロイアビリティという言葉は、キャリアや能力開発の自助努力を当たり前とする風潮の象徴として一人歩きしたように思います。ここでの注目点は、能力開発の主体が大きく企業から個人に移行したことです。確かにキャリアや成長に自助努力が欠かせないことは頷けますが、当時の多くの企業における育成費の削減と育成機会の崩壊から伺えるのは、個人の自己責任という言葉が、残念ながら企業の責任逃れに使われてしまったということです。

氷河期の人たちは厳しい就職活動を経て入社した後も、能力開発について自助努力を強いられ、成果主義の導入と相まって、追い込まれ、根本に癒されないものを抱えてしまった世代であることが見えてきます。社会状況がこの世代に自分で何とかしなければならないという自己完結型のガンバリズムを過渡に助長したように思えます。

 

2.なぜ能力開発がうまく機能しないのか

こうした氷河期世代の能力開発は、先述のエンプロイアビリティに代表されるように、否が応でも即戦力として使えるスキル、はっきり分かりやすい資格に目が行った現状があります。教育給付制度の導入もあり、中小企業診断士などの資格、コミュニケーションスキルとしてのコーチング、MBA的なスキルや学位所得が脚光を浴びました。

しかし、根本が癒されないまま、次から次へ流行のスキルを学び、即戦力となるための資格を取得しても、知識は増えるもののビジネスの現実を動かす真の力にはなっていきません。それは丁度、痩せた土地に種を植えても豊かな収穫が見込めないことと同じです。

それではどうしたら良いのでしょうか。目新しい、使えそうなスキルを次々に追い求めるのではなく、少し遠回りに思えるかも知れませんが、端的に言いますと確りと自分に向き合うことだと考えます。長年個人や組織の能力開発に関わっている経験からも、自己変容は自己理解から始まり、自己理解の深さが自己変容の深度を決めると実感しています。

また、特にこの世代に大切になるのは「関係性」の観点から深く自分を見つめることです。精神科医であり心理学者のビクトール・フランクルは自己実現について、「世界の要求に対して自分を開くことで可能になる」と指摘します。また心理学者のデイビット・ベイカンは、人間存在を「エージェンシー」と「コミュニオン」の二重性によって説明しています。「エージェンシー」とはキリスト教における神の代理人としての達成が想定されており、ベイカンは「エージェンシー」に偏ると、神の代理に過ぎなかった人がやがて自ら神であるかのような錯覚に囚われ自己破壊に到ってしまうと警告しています。ガン細胞のように自己肥大することで自己破滅するというわけです。そこで大切になるのが親交や共有、共に生きて行く「コミュニオン」です。やり切ることは大切ですが、一人に閉じこもるのではなく、世界に開き、周りに配慮し関係性を紡ぎ出すなかでの達成が求められるのです。健全な発達には「エージェンシー」と「コミュニオン」の両方が欠かせないというわけです。

氷河期世代の人たちは、追い込まれた時期が長いだけに、達成せねばならない強迫観念やそこからくる疲労感が強いように伺え、達成としての「エージェンシー」に注意が向くのも無理はありません。特に関係性の観点を強調した自己理解が重要だと思われます。

 

3.リーダーシップ開発における関係性の観点

リーダーシップの開発には沢山の切り口があります。その中でも自分に向き合うという観点から、リーダーシップの代表的研究者ビル・ジョージとピーター・シムズらが、興味深い研究結果を発表しています。彼らは、125人の多岐に亘るリーダーたちに対してインタビューを行いました。そして、3000ページに及ぶ調査記録を、詳細に分析した結果、「リーダーとして成功する条件といえるような、共通の特徴、スキル、スタイルが何一つ見出せないことに驚いた」と言います。そして、たどりついた結論が、「自分らしくあることが、リーダーとしての能力を高めること」ということでした。彼らに従えば、リーダーシップを開発するとは、ひとつのあるべき姿や理想像に向かって自分を矯正することではなく、元々ある自分らしさに、磨きをかけることとなります。

つまり、リーダーになるとは、自分自身になることと換言できます。確かに、人をサポートするのが得意で、あまり人前に出たがらない人が、カリスマ型リーダーになれ、ぐいぐい組織を引っ張れといわれても、ストレスにこそなれ、うまく行くことはありません。無理に自分を変えるのではなく、元々持っている特性に磨きをかける。この場合であれば、ビジョンを確り抱きながら、その達成に向けて、メンバーに共感的に接して、メンバーの意見を傾聴し、問い掛けて、気付きを促したり、得意技を引き出したりするスタイルなどが考えられます。自分らしくあったほうが、リーダー自身もエネルギーが上がるし、まわりも、安心して見ていられます。ただ、注意が必要なのは自分らしくとはいっても、現状に甘んじるのは禁物だということです。彼らは「音楽家やアスリートたちと同じように、生涯かけてみずからの可能性を追求する」ことが欠かせないと指摘します。

さらに、フランクルやベイカンの研究を勘案しますと、自らを知るとともに、メンバーの自分らしさに関心を持ち、「知り合う」ことが重要です。なぜなら、変化が常態化し不確実性の高まった現在、全てを特定少数のリーダーに託すことは、不可能だからです。状況によって、リーダーが入れ替わることも自然といえます。この場合は、誰がリーダーとして相応しいか、組織の中で、お互いが理解し合っていることが重要なわけです。つまり、現在メンバー同士が、自分らしさを生かし合う、関係性を重視した、リーダーシップが求められていると言えます。リーダーシップ開発において、特に氷河期世代の方々にはこの関係性の観点が重要であることを強調する必要があります。

 

4.どのように自分に向き合うか

それでは、どのように自分に向き合えばいいでしょうか。大変厳しい就職環境で、否が応でも企業受けを狙ったきれいな自己アピール作成を訓練されてしまいました。一方で奥底まで自己を見つめることができている人は少ないのが現状ではないでしょうか。外側の評価基点の発想で、奥底まで自分に向き合うことはできません。自分に向き合う方法としてここでは効果の高い2つについて紹介したいと思います。

 

4-1 3つの観点での向き合い

ひとつめは、3つの観点から自分に向かい合うという方法です。3つの観点とは、価値観(何がしたいか)、意義(何に意味・意義を感じるか)、得意(何が得意か)です。3つの観点から自分の物語を振り返り重なりを探ります。様々な質問に取り組みながら3つの観点を掘り起こして行くのです。

 

4-2 固定観念を探る

ふたつめは、自分の奥底にある固定観念に取り組むというものです。固定観念は自分に固着した囚われや偏りであり、多くの場合無意識層に深く潜っており、自分自身で気づけていません。「固定観念は体臭に似ている、自分では気づけない」と言った心理学者が居ました。存在に気づいていないので、取り組むこともできずに、同じ過去のパターンを繰り返してしまうのです。例えば、会議で自信を持って言った意見に反対された時、どのような反応をするでしょか。怒りに駆られるでしょうか、それともひどく落ち込むでしょうか。どちらにしても感情の揺らぎが大きかったのであれば、何かしらの囚われ表出のサインであると見ることができます。ひとつめの方法に比べるとより深いレベルに取り組むことになります。その分取り組む本人の自己開示力と内省力も問われます。

 

5.関係性によって紡ぎだされる未来

以上、氷河期世代に絞って効果的なリーダーシップ開発について検討してきました。ポイントは関係性であり、深いレベルの自己理解でした。方法論としては個人での内省と内省からの気づきの共有という2つの基本構造が特徴です。このことで自分に向き合うことと関係性を紡ぎだすことが相乗されます。つまり自己理解の営みは、関係性の観点が入ることで、より豊かに深くなります。これら2つの観点を強調したリーダーシップ開発はこの世代に限らないことかも知れません。しかし厳しい寒風に吹かれ続けたこの世代には特に大切にしなければならないポイントなのです。関係性を紡ぎだすことの素晴らしさを実感している人が増えることが組織を強くし、個人と組織の未来が紡ぎだされていくことを願ってやみません。

 

以上

 

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • リーダーシップ
  • コーチング・ファシリテーション
  • チームビルディング

東洋思想とポジティブ心理学を援用した、“協奏する組織論”を提唱、本質的な組織開発を専門としている。

経営学博士としてのアカデミックなバックボーンと、現場での体験を活かした組織開発を実施。大手電気機器メーカー、大手精密化学メーカー、大手自動車メーカー、行政機関など組織開発の実績多数。特にミドルマネジャーを中核とした組織活性化を得意とする。

小森谷 浩志(コモリヤ ヒロシ) 株式会社ジェイフィール コンサルタント

小森谷 浩志
対応エリア 全国
所在地 渋谷区

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