人事辞典 掲載日:2018/09/28

【ヨミ】マイクロラーニング マイクロラーニング

社員をどのように育成していくかは、人材開発担当者にとって重要課題の一つです。これまでに多くの人材育成方法が考えられてきましたが、若い世代の志向に合う方法として近年注目されているのが「マイクロラーニング」。短い時間に短い教材を使って学習していく方法で、どれぐらいの時間のものをマイクロラーニングと呼ぶのか、定義はまだ確立していませんが、一般的にはおおむね1~5分程度といわれています。

1.マイクロラーニングとは

マイクロラーニングの概要

マイクロラーニングとは、短い時間に短い教材を使って学習する方法。かかる時間は一般的に1~5分程度といわれていますが、現実には1~3分程度のものが多く、中には10分程度のものもあります。

マイクロラーニングの教材は、動画やWEBコンテンツなどインターネットを活用したものになります。この点はeラーニングと同じです。インターネットやSNSなどに抵抗のない若い世代にも受け入れられやすく、スマホなどを使ってすきま時間で学習できることが特徴です。

『日本の人事部 人事白書2018』の調査では、「今後の導入や増加を検討している研修スタイルは何か」という質問に対して、「対話・ディスカッション」と答えた育成担当者が59.3%。「カスタマイズ」「現実の業務問題の解決」がそれぞれ39.0%でした。次いで多かったのが「マイクロラーニング」22.0%です。モバイルツールの普及やテクノロジーの進化とともに、マイクロラーニングは今後、加速度的に広がりをみせる学習法と考えられます。

マイクロラーニングが生まれた背景

マイクロラーニングは、多くの時間を要する従来の学習方法とは異なるものになっています。なぜこのような学習スタイルが登場し、急速な広がりを見せているのか、その背景について見ていきます。

2000年以降に社会に出たミレニアル世代の多くは、それ以前の世代とは異なる志向を持っています。デジタル機器やインターネットが普及した環境に生まれ育っているため、学習にもデジタル機器やインターネットを使うことを好みます。また、学ぶという行為においても手軽さを求める傾向があります。

今後、社員の多くがミレニアル世代になっていく中で、人材育成のための学習スタイルも従来のものから変化させていく必要があります。こうした環境の変化に対応するべく登場したのが、マイクロラーニングです。

動画やWEBコンテンツなどインターネットを活用した学習方法として、「eラーニング」があります。eラーニングを取り入れている企業は多数ありますが、次のような問題を抱えています。

1.時間が長すぎて視聴されない。集中力が続かない
eラーニングもインターネットを活用した学習方法ですが、一つのコンテンツの長さは、数十分から一時間程度のものが多く、勤務時間内にまとまった時間を作る必要があります。しかし、仕事の忙しさなどを理由に視聴されないことが多い、視聴しても長すぎて集中力が続かない、といった問題が起こっています。結果として、学習効果も低くなりがちです。
2.そもそもの動機付けが低く、行動に結びつかない
eラーニングの短所として、学習に対する動機付けの低さが挙げられます。これは、eラーニングの学習スタイルに原因があります。企業が「業務の一環として、ほぼ強制的に」「学習期限や学習内容を指定して」「ある程度の数の社員を対象にして」行うことが多いためです。学習内容について、自分とはあまり関係がない(自分の課題ではない)と思っている社員が多く、せっかく学習しても行動に結びつかない傾向がみられます。
3.知識として定着しない
eラーニングは、コンテンツの長さや視聴期限などから、手軽に学習できる仕組みではありません。そのため、繰り返し学習することができず、一度視聴したら終わり、という状態が多くなっています。結果、なかなか知識として定着しにくくなるという問題が生じています。

2.マイクロラーニングのメリット・デメリット

これからの社員育成方法として、マイクロラーニングが必須になりつつあるといっても過言ではありません。しかし、マイクロラーニングにもメリットとデメリットがあります。導入にあたっては、そのメリットとデメリットをあらかじめ知っておくことが重要です。

マイクロラーニングのメリット

マイクロラーニングは、一つのコンテンツが数分程度と短い時間となっています。また、社員が所有しているスマートフォンなどでも視聴できます。そのため、仕事の合間や通勤時間などのすきま時間でも学習できる、というメリットがあります。仕事の手を止めて勉強する必要がないため、忙しさを理由に視聴できないということもありません。会社側にとっても、社員に学習の指示を出しやすいことは大きなメリットです。

マイクロラーニングがeラーニングと異なる点の一つに、繰り返し学習できることが挙げられます。学習時間が短く、しかも身近なデジタル機器を用いて学習できるので、内容を忘れてしまった場合や、もう一度確認したい場合などに気軽に反復学習ができます。そのため、学んだ内容が定着しやすく、実践面に生かしやすいというメリットがあります。また、短時間の学習のほうが記憶に残りやすい傾向があることから、効率的に進められる点も評価されています。学習を日常の習慣として根付かせやすいことも利点です。成長意欲のある人材を育成する上で、大きなメリットがある学習法といえます。

学習や研修などを通じて社員の育成を図る際に、忘れてはいけないのが学習教材の制作です。これまで研修などに使われてきた教材は内容量が多く、制作にも多大な労力が必要でした。マイクロラーニングでは一つのコンテンツの内容量が少ないため、制作にかかるパワーも小さくなります。

もう一つ重要なのが、内容の修正や更新についてです。特に、学習内容が法律や条文などのように頻繁に改正があるものの場合は、学習教材の修正や更新も頻繁に行う必要があります。

マイクロラーニングは、修正や更新も容易にできるうえ、修正を加えた箇所を容易に確認できるので、間違いや更新忘れなどが起こるリスクも小さくなります。

優秀な人材確保に寄与

人材育成とは少し離れた話になりますが、企業にとって社員の育成とともに重要なのが優秀な人材の確保です。しかし、現在の新卒売り手市場の状況や少子化を考えると、優秀な人材の採用は今後ますます難しくなっていくことが予想されます。

研修内容の充実は、企業の姿勢を示す重要な要素です。特に、これから増えるミレニアル世代にとって、マイクロラーニングによる社員育成はアピールポイントとして有効に働くと考えられます。マイクロラーニングを導入することには、優秀な人材の確保にもつながるのです。

マイクロラーニングのデメリット

マイクロラーニングは、コンテンツの時間や内容量をコンパクトにし、学習しやすくしたり、反復学習を促したりすることが特徴です。しかし、その反面、大量のコンテンツが必要なものや、習得に長期間を要する学習には向きません。

例えば、社員のスキルアップを目的とする学習や、業務上必要となる資格試験の学習には不向きです。また、長時間を要する新入社員向け研修や、経営課題の解決方法を学ぶなど高度なスキルを身に付けなくてはならない場合の手段としても適していません。

会社の研修には大きく分けて座学で行うものと、実際に体験しながら学ぶものがあります。座学で行うものの中には、マイクロラーニングを使うことができるものも多くありますが、実際の体験が必要なものには、マイクロラーニングが使えないものが多くなります。

例えば、現場経験を通じて、上司や講師などからアドバイスやフィードバックを受けながら習得していくスキルは、インターネットを介して学ぶことはできません。また、他人とのディスカッションの中で考えを深めていくもの、問題点の抽出やその解決方法に重点を置いているものなども同様です。

導入・運用にかかるパワー

マイクロラーニングを導入するには、体制を整える必要があります。まず、学習教材などのコンテンツをのせるためのプラットフォームやシステム構築など、物理的な体制を整えなければなりません。運用面では、コンテンツの制作や修正、配信日やラインナップの決定などを担当する人的な体制も必要です。

社内でコンテンツ制作を行うのが難しい場合は、外部の業者が作成したシステムやコンテンツを利用する方法もあります。社内制作でも外注でも、ある程度のコストがかかるため、導入する際にはコスト面についても留意しなければなりません。

3.マイクロラーニングの効果を高めるポイント

ここでは、マイクロラーニングを効果的に運営するための方法を見ていきます。

実地トレーニングと併用する

マイクロラーニングは、実践的な学習では使えないこともあります。そのため、すべてをマイクロラーニングに移行するのではなく、実地トレーニングと併用することで、より効果的な学習ができる仕組みを作ります。

実地トレーニングでは、実際の経験とフィードバックによってスキルを習得していきます。しかし、反復が難しいため、スキルが定着するまで時間を要する点がデメリットとして挙げられてきました。そこで、実地トレーニングで理解した内容の復習や確認に、マイクロラーニングを使用します。

また、あらかじめマイクロラーニングで知識を得ている状態で実地トレーニングを行い、習得の度合いを深めるという使い方もできます。マイクロラーニングで学習した時の不明点などを、実地トレーニングやディスカッションなどで解消することも可能です。

このように、マイクロラーニングと実地トレーニングを併用することで、多くの研修にバリエーションを与えることができます。研修の質を高めるという観点からも、併用プログラムは効果的といえます。

一話完結のコンテンツにする

マイクロラーニングではコンパクトな教材を使用しますが、内容は続き物と一話完結のどちらがよいのかという疑問も生じます。

結論からいうと、一話完結のコンテンツにした方がよいといえます。連続するコンテンツにすると、続きを見ずに習得が不完全な状態で終わってしまうことが懸念されるからです。また、次のコンテンツを見てから復習しようとするなど、反復学習が不十分になりがちです。

一話完結のコンテンツにすることで、マイクロラーニングが持つメリットが生かされ、学習効率を高めることができます。

活用方法の広がりが期待される学習法

企業の今後を支える中心的な存在となるミレニアル世代の育成は、多くの企業に共通する課題です。それ以前の世代とは違う志向を持つ人材であるため、育成方法も彼らに合わせていく必要があります。デジタル端末を活用するマイクロラーニングは、自発的な学習を促すうえでも有効な方法といえます。

全ての教育をマイクロラーニングでカバーすることはできませんが、知識の習得効率や定着度を高めることができる点は大きな魅力です。また、これまで属人的に行われてきた業務や暗黙知を容易にコンテンツ化できる点においても、マイクロラーニングが持つ可能性に広がりが見えます。自社においてどのように活用していくか、検討してみてはいかがでしょうか。

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