企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】アークスモデル ARCSモデル

「ARCS(アークス)モデル」とは、学習者の動機づけを高める方法をモデル化したもので、やる気を引き出すための四つの要素「Attention(注意喚起)」「Relevance(関連性)」「Confidence(自信)」「Satisfaction(満足)」の頭文字をとっています。アメリカの教育工学者、ジョン・M・ケラーによって提唱されました。大学などの教育の場で用いられることが多く、授業を通して生徒や学生にAからSの四つの体験をさせることで、学習へのモチベーションが維持できるよう工夫されています。教育だけでなく、職場での指導のシーンでも応用できる理論として、企業の研修設計や教材開発などにも活用されています。
(2018/2/7掲載)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ARCSモデルのケーススタディ

「部下のやる気が感じられない……」
教える立場が知っておくべき学びの方法論

OJTトレーナーに選ばれたり課長に昇進したりするなどして、教える相手ができたとき、「言われたことしかやらない」「なんだか仕事が楽しくなさそうだ」と、相手のモチベーションを引き上げる方法が分からず、頭を抱えたことはありませんか。そんなとき、人が自発的に学びたくなるためのやる気をオンにするためのセオリー「ARCSモデル」を知っていれば、相手に対して今の自分がとるべき行動が分かるかもしれません。

まず、ARCSモデルの「A」である注意喚起は、知覚的喚起、探求心喚起、変化性と、三つに分けることができます。相手に面白そうだなと思わせるために、映像を使用したりキャッチーな事例を取り上げたりするなど、知的好奇心を刺激することから始まり、マンネリを避けるために座学と実践を交互に取り入れるなどの変化をつけることも必要です。

次に「R」の関連性は、目標に対して親しみをもたせること。目的志向性、動機との一致、親しみやすさに細分化されます。相手が持つ将来の目標と、学びから得られる目標を結び付けて考える、過去の経験や興味と関連付ける、といった方法で個人的ニーズを満たし、学習者が自分ごととして捉えることができるように導きます。

「C」の自信は、学習要求、成功の機会、成功への自信、という三つの概念から成ります。人は小さな成功を繰り返すことで、自信を身に付けていきます。その学習や研修の中には成功を経験する機会が与えられているか、また、その成功は自分の能力や努力によってもたらされたものか。成功を積み重ねることで、「やればできそうだ」という自信につなげていくことができるのです。

最後の「S」の満足感は、内発的な強化、外発的な強化、公平さに分解されます。心の中にある興味を発展させるために、新たに得たスキルを活用する機会が与えられているか、相手の成功にコメントや賞賛をしているか。そして、採点基準を明確にするなどして、公平さが保たれているか。目標に到達したことを認めて褒めることで、学びを次の行動につなげることができます。

人に何かを教えるときは、自分の知識や経験を押し付けるのではなく、本人が自発的に「学ぼう」と思えるしかけを考える。ARCSのフレームワークは社内研修だけではなく、上司と部下、先輩と後輩の日常的なやりとりの中にも活用できそうです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

セルフエフィカシー
「セルフエフィカシー(self-efficacy)」は、日本語で自己効力感と訳されます。自分がある状況において適切な行動を遂行できるかどうかの認知のことを指し、カナダ人心理学者のアルバート・バンデューラが提唱しました。「求められる行動を遂行する能力を持ち合わせていることへの自信」とも言い換えることが...
DESC法
「DESC法」とは、ポジティブなコミュニケーションを行うための方法で、率直で誠実な意見の伝え方を目指します。DESCは自分の意見を述べるための四つのプロセスの頭文字をとったもの。Dは「Describe」で客観的に事実を描写すること、Eは「Express」で自分の感情を率直に伝えること、Sは「Spec...
経験学習
人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べるという考え方を、人材育成の領域では「経験学習」と呼びます。組織行動学者のデービッド・コルブはこうした学びを、体系化・汎用化された知識を受動的に習い覚える知識付与型の学習やトレーニングと区別し、「経験→省察→概念化→実践」という4段階の学習サイ...

関連する記事

マネジメント・管理職研修をどう企画・実施するか
現在、変革期を迎えているマネジメント・管理職研修だが、研修を企画・実施する場合、どのような点を重視し、自社に合った内容を作成していけばいいのか。以下では、そのステップと留意点を整理していく。
2016/06/10掲載よくわかる講座
人材育成・能力開発制度の実際
人材育成・能力開発の目的・方向性・進め方について、プログラムの考え方と実施のポイントについて解説する。
2017/06/30掲載よくわかる講座
研修の準備と段取り
研修の実施に当たり、事前準備や研修当日の運営において行うべきことは多い。これら研修の準備と段取りについて、ポイントを整理してみたい。
2012/10/12掲載よくわかる講座

関連するキーワード

分類:[ 人材開発 ]
テレワーク特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

タレントパレット ジョブ・カード制度 総合サイト

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


テレワーク特集

「テレワーク」のメリット・デメリットを整理するとともに、導入プロセスや環境整備に必要となるシステム・ツール、ソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の新しい挑戦を支えるために<br />
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

会社の新しい挑戦を支えるために
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グルーバル...


「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現<br />
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

福岡市に本社を構える西部ガス株式会社は、「働き方改革」の一環としてテレ...