カルチュラル・インテリジェンス
カルチュラル・インテリジェンスとは?
「カルチュラル・インテリジェンス」(CQ)とは、文化の違いを超えて円滑にコミュニケーションを図る能力のことです。Cultural Quotientとも呼ばれ、IQ(知能指数)やEQ(感情指数)に倣ってCQ(文化指数)と略されます。企業が海外に進出し、異なる文化圏で新たなビジネスを展開する際、グローバルマネジャーに必要不可欠な能力の一つとされます。
日本人が苦手な異文化コミュニケーション
“海外武者修行”で若手を鍛える企業続々
日本経済新聞が2012年末に、アジア6ヵ国(インド、インドネシア、韓国、タイ、中国、ベトナム)のビジネスパーソンや大学生を対象に意識調査を実施し、ビジネスパーソン限定で自国への日本企業の進出や投資についてどう思うかを聞いたところ、82%が「歓迎」「どちらかというと歓迎」と答えました。日本のビジネスパーソンのイメージについて尋ねると、「勤勉」(88%)や「問題解決能力が高い」(59%)などの答えが上位に上がる一方で、「語学力がある」は31%で最下位に。また「現地社員と積極的にコミュニケーションをとる」「異文化の受容力が高い」も下から2番目、3番目で、当てはまると答えた人はいずれも4割前後にとどまっています。
グローバルビジネスをけん引するリーダーは、文化の差異を超えてその国や地域独自の習慣などを理解し、適応しなければなりません。そのために欠かせないといわれるのが、現地人材と円滑にコミュニケーションを図る能力、「カルチュアル・インテリジェンス」です。しかし上記の調査結果を見る限り、日本のビジネスパーソンのそれは決して高いとは言えないようです。とりわけ職歴の長いベテランほど、日本でしか通じないやり方を現地スタッフにも押し付けがち。産業能率大学グローバルマネジメント研究所の内藤英俊主幹研究員は、むしろ「経験の浅い若手なら、現地のやり方やノウハウを取り入れる柔軟性がある」と言います。
そうした中、日産自動車では若手社員に海外の厳しいビジネス現場を経験させる研修制度を、今年9月から導入しました。異文化の中で交渉力や指導力を鍛えるために、入社4年目の社員から30~50人程度を選抜し、欧米やアジアの事業体に3~6ヵ月間派遣。販売や品質管理など現場の最前線に配置し、売上増など具体的な成果を求めるといいます。日本通運も9月から、海外勤務を希望していなかった若手社員をシンガポール法人に送り込む制度をスタート。これまで海外での研修や出張を経験していない入社6年目の社員、80人強を派遣対象としています。
日本でも、海外企業のように、30~40歳代で経営の第一線に立てるグローバル人材を育てようという動きが広がってきました。若いうちに厳しい武者修行に出れば、カルチュラル・インテリジェンスも自然と高まるでしょう。産労総合研究所がまとめた13年度「教育研修費用の実態調査」によると、グローバル人材の育成を目的に海外研修を実施している企業は全体の25%にのぼっています。
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