グローバルニッチトップ企業
グローバルニッチトップ企業とは?
「グローバルニッチトップ企業」とは、比較的ニッチな分野に特化することにより、国際市場で競争優位を確保している超優良企業のことです。2014年3月、経済産業省は、グローバル展開に取り組む国内企業のうち、特定分野の製品や技術等に強みを有し、世界トップレベルのシェアと利益率を両立していると認められる企業100社を「グローバルニッチトップ企業100選」として、初めて選定しました。グローバルニッチトップ企業には地方の中堅・中小企業が多く、高い技術力を誇る一方、全国的な知名度が低いため、人材確保に苦労しているなどの共通点があります。
世界で稼げる中小企業に政府のお墨付き
知名度の低さによる採用難の解消に期待
政府が昨年6月に閣議決定した「ものづくり白書」では、過去最大の貿易赤字を背景に、輸出力の強化が重点課題の一つに挙げられました。その新しい輸出の担い手として大いに期待されているのが“世界で稼げる中堅・中小企業”=「グローバルニッチトップ企業」です。
人口減少や産業の空洞化が進む中、もともと内需に依存してきた中堅・中小の製造業が成長を持続させるには、グローバル化を避けて通ることはできません。政府も国際展開に優れ、日本経済の新しい牽引役となり得る企業を積極的に支援、育成していく方針です。経産省はその具体策の一環として、特定の製品や技術に強みを持ち、世界で高いシェアと利益を確保している超優良企業を「グローバルニッチトップ企業」に認定。その経験知を一般化し、グローバルニッチトップを目指す企業に向けた経営の羅針盤を示す取り組みとして、「グローバルニッチトップ企業100選」を選定しました。
選定にあたり、「特定の商品・サービス等について、過去3年以内に10%以上の世界シェアを確保したことのある中小企業」などの条件で候補企業を募ったところ、2週間で300件近い応募があったといいます。さらに外部の有識者で構成する選定評価委員会が「世界シェアと利益の両立」「独創性と自立性」「代替リスクへの対処」「世界シェアの持続性」などの基準に照らして定性・定量評価を行い、応募企業を100社まで絞り込みました。そのうち94社を中堅・中小が占め、部門別の内訳では機械・加工部門52社、素材・化学部門20社、電気・電子部門15社などとなっています。
グローバルニッチトップ企業100選には、漁船上で使用される「全自動イカ釣り機」の製造販売で世界シェアの約7割を占める東和電機製作所(北海道)や、40分の1ミリという超極細糸を活かした織物を製造する天池合繊(石川県)、ドラ焼きをつくる器具を「サンドウィッチパンケーキマシーン」の商品名で海外展開するマスダック(埼玉県)、カニカマ製造装置のヤナギヤ(山口県)など、ユニークな企業が名を連ねました。しかしその多くが、国内では“知る人ぞ知る”優良企業。技術力とシェアは世界トップレベルにありながら、一般的な知名度はけっして高いとはいえず、そのために人材の確保が大きな経営課題となっています。
経産省がグローバルニッチトップ企業を対象に実施した調査で、新卒採用・教育の課題についてたずねたところ、「自社の知名度が低く、応募者が集まりにくい」と答えた企業が31.6%で最も多く、「採用基準に達する応募者が少ない」と回答した企業(17.3%)を加えると約半数に達しています。今回のグローバルニッチトップ企業選定の“お墨付き”が採用難の解消につながるか、注目されるところです。
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