企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】シリアルアントレプレナー シリアルアントレプレナー

「シリアルアントレプレナー」とは、アントレプレナー(起業家)の中でも、特に連続して何度も新しい事業を立ち上げる起業家を指す言葉です。シリアル(serial)は「連続的な」の意、日本語では「連続起業家」と訳されます。シリアルアントレプレナーはベンチャー企業を設立、発展させ、事業が軌道に乗ると売却するなどして経営から退き、また新たなベンチャー企業を立ち上げる、ということをくり返します。仮に事業が不成功に終わっても、その失敗を糧として次の事業に挑戦するのが特徴です。
(2014/10/21掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シリアルアントレプレナーのケーススタディ

米国では起業家の3分の1が連続起業
企業の“身売り”は敗北ではなく誇り

日本のビジネス社会の伝統的価値観では、会社や事業の売却・譲渡はネガティブなイメージで語られることが少なくありません。いわゆる“身売り”という言葉から連想されるように、経営者や事業家が自社の売却を決断すると、その一事をもって市場競争の敗者とみなされる風潮が、いまだにあります。実際、経営に行き詰まり、資金に余力のある同業他社にやむを得ず買ってもらった、といった事例が多いのも確かでしょう。

起業先進国のアメリカの場合、企業の“身売り”に対する見方は、日本と大きく異なります。自分が創り、育て上げた会社や事業を大手企業に売却できることは事業家にとって誇りであり、起業のモチベーションになっていると言われます。買われることが“cool”(かっこいい)と評価される文化があり、それゆえに必ずしもゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)をもって経営にあたるのではなく、会社や事業部門の価値がピークに達したときこそ“売りどき”だと考える価値観が根付いているのです。そうした土壌から次々と輩出されているのが「シリアルアントレプレナー」――ベンチャーを立ち上げては売却・譲渡し、得た利益や人脈を活かして、また次のベンチャーを立ち上げるというサイクルをくり返す連続起業家です。

特に米・シリコンバレーにこのタイプの起業家が多いと言われる背景には、大手IT企業が優秀な人材や技術をもつ新興企業を発掘し、投資することに積極的だから、という要因があります。米調査会社によると、2011年から14年6月までの大手IT企業の買収・投資件数は、グーグルが195件、ヤフーが50件、アップルが26件に上っています。また、ビジネスソフトの定番として知られるマイクロソフトの「オフィス」にはワード、エクセル、パワーポイントなどさまざまな製品群が含まれていますが、これらはもともと別々のベンチャーが開発したもので、同社はこうしたベンチャーを100社以上買収し続けることで、世界的な企業へと飛躍していきました。いい会社なら積極的に高く評価する=買う文化があるからこそ、いい会社を創っては売り、売っては創ろうとする、貪欲な起業家精神も育まれるのでしょう。

米クレムゾン大学のウェイン・スチュアート准教授は「米国では、起業する人の3分の1以上が何度も挑む起業家だ。失敗の中から新しいトライが生まれているようだ」と述べています(朝日新聞2014年7月6日付)。技術革新に次々と挑戦し、経済に活力をもたらすシリアルアントレプレナー。ここへきて日本でも台頭の兆しが現れてきました。ヤフーやミクシィなどネット大手によるベンチャー買収が進み、連続起業しやすい環境が生まれつつあるのです。ただし、企業・事業の売買が頻繁にくり返されることは、そこで働く人々の雇用・労働環境の不安定化につながりかねません。日本に米国流“身売り”が浸透、定着するかは不透明です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

イントラプレナー
イントラプレナー(Intorepreneur)とは「社内起業家」のこと。企業内において新しいビジネスを立ち上げる際、その責務を担うリーダーとなる人材を一般の起業家を意味する「アントレプレナー」(entrepreneur)と区別してこう呼びます。起業家精神はもとより、経営管理能力や事業全般にかかわる...
事業承継
「事業承継」とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことで、一般的には、閉鎖企業や同族経営の中堅中小企業のオーナー社長が親族や従業員に、あるいはM&Aの相手先に事業を承継させるプロセスを言います。よく似た言葉に「事業継承」がありますが、「承継」が先代の「地位、事業、精神を受け継ぐこと」であるのに対し、「継...
リーン・スタートアップ
「リーン・スタートアップ」(lean startup)とは、アメリカの起業家エリック・リース氏が2008年に提唱した、起業や新規事業などの立ち上げ(スタートアップ)のためのマネジメント手法のことです。リーンとは日本語で「ムダがなく効率的」という意味で、「かんばん方式」で知られるトヨタ生産方式を他分...

関連する記事

起業経験を強みにできない人材、できる人材
グローバルな企業間競争を勝ち抜いていかなくてはならない現代。安定志向の強い社員はいらない、自分で起業するぐらいの経営者感覚を持った人材が欲しい、という企業は多いものの、「起業経験者は、チャンスがあればまた起業したいと思っているのではないか」という懸念も…。今回...
2011/11/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
「新卒で起業」経験者の転職
日本と海外とでは、同じ大学生でも大きく異なる特徴があるという。「日本の優秀な学生は大手企業や官僚志向が強いが、海外の優秀な学生は自ら起業する」というものだ。確かにマイクロソフトやフェイスブックなど、時代を変えてきた海外の企業には、学生が創業したところが多い。最...
2015/04/01掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材派遣の「現状」
進化・拡大の勢いは止まらず――。数字から読み解く人材派遣市場の動向
2016/10/31掲載よくわかる講座

関連するQ&A

登記の事業目的について
事業目的ですが、今後の事業拡張のために現在の事業内容だけでなく、見込まれるものも入れておきたいのですが、どのような文言がよいのでしょうか?文例のようなものがあれば教えてください。(できるだけ多くの事業内容を盛り込みたい)
事業者とは?(2)
労働安全衛生法は、労働基準法から分離独立したものですので、基準法の使用者と同じように、事業者についても、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項(安全衛生)について、事業主のために行為するもので、権限が与えられている者と定義して、事業者とは、事業場の長となる?事業者が事業主の時は...
36協定について
「事業の種類」および「事業の所在地」が同一ですが、部署名が異なる3部署があるとします。   (会社名は同じで、●●会社 A工場、●●会社 B部、●●会社 C室) その場合は、3部署をまとめて届出をすれば良いと思っていますが、「事業の名称」は、どのように記載すればよろしいでしょうか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ キャリア開発 ]
分類:[ 経営戦略 ]
新卒採用向けの「採用管理システム」を比較する4つのポイントを解説! 特長や料金も一覧で検討できます

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

しごとコンパス

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


新卒採用向け「採用管理システム」導入のポイント~競争力を持った採用活動の実現に向けて~

新卒採用向けの「採用管理システム」。導入する際に押さえておくべきポイントと選び方のヒントを解説


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


異文化対応と自己表現を重視した「英語教育」が<br />
真のグローバル人材を生み出す

異文化対応と自己表現を重視した「英語教育」が
真のグローバル人材を生み出す

多くの日本企業がビジネスをグローバルに展開していますが、海外での日本企...


「改正労働者派遣法」施行に伴う派遣社員のキャリアアップ教育にどう対応するのか

「改正労働者派遣法」施行に伴う派遣社員のキャリアアップ教育にどう対応するのか

2015年9月に施行された「改正労働者派遣法」により、派遣社員活用のあ...