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【ヨミ】キャリアショック キャリアショック

「キャリアショック」とは、国内のキャリア研究の第一人者である、慶應義塾大学大学院特任教授の高橋俊介氏が同名の著書で提唱した概念で、自分が積み上げてきたキャリアや描いてきたキャリアの将来像が、想定外の環境変化や状況変化によって短期間のうちに崩壊してしまうことをいいます。変化の激しい時代を生きるビジネスパーソンの誰もが、こうした危機的状況に陥るリスクにさらされていると言われ、企業の人材マネジメントにおいても、個人のキャリアショック克服をどう支援するかが重要なテーマとして浮上しています。
(2014/9/29掲載)
 

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キャリアショックのケーススタディ

知識やスキルの蓄積が陳腐化し将来像が崩壊
キャリアを「積み重ねる」から「つなぐ」へ

将来を見据えてコツコツと積み上げてきたキャリアや、こうなりたいと思い描いてきたキャリア予想図が、あるときを境に一気に崩れ去り、ショックから新しい環境や状況に適応できなくなってしまう――前述の高橋教授が著書『キャリアショック』で、そうした危機が日本のビジネスパーソンにも迫っていると警鐘を鳴らしたのは、2000年12月のことでした。それから10年余――。さらなる経営環境の変化とグローバル競争の激化を受けて、多くの企業がドラスティックな組織変革に取り組む中、キャリアショックに見舞われる人は確実に増えていると考えられます。

前掲書には、米国サン・マイクロシステムズのCEOだったスコット・マクナリーが、自社の社員に対し「同じ仕事を2年以上続けるな」と明言していた、というエピソードが記されています。「キャリアが陳腐化する可能性があるからだ」というのがその理由です。同社の人事担当幹部からこの話を聞いた高橋氏が、「それではスキルの蓄積ができないではないか」と質問したところ、その幹部は「スキルが蓄積するころには陳腐化するだけだ」と答えたといいます。

そもそも多くの日本人にとって、キャリアとは「積み重ねるもの」「蓄積するもの」といったイメージが強いのではないでしょうか。そのせっかく積み重ねたものや蓄積したものが陳腐化し、無に帰することへの落胆、喪失感こそが、キャリアショックを引き起こす要因といえます。例えば、子育て世代のビジネスパーソンの多くが、育児休業を取ると元の職場や仕事に復帰できないから、キャリアに不利に働くと感じてしまうのも、キャリアを一つのことの積み重ねととらえる典型例でしょう。また、大手企業の約半数が役職定年制を導入し、組織の新陳代謝を図っていますが、その影響で不本意な配置転換を命じられた役職定年者は、長年の経験やスキルの蓄積を会社に否定されたような気がしてプライドを傷つけられ、キャリアショックに陥ることが少なくありません。

高橋氏は、キャリアを積み重ねたり蓄積したりするものではなく、「つなぐ」ものと考える発想の転換が必要だ、と述べています(『Think!』2012年秋号)。過去の仕事から得た経験知は、役割や環境が変わっても、自分の中に個性として身についているはずです。一つの仕事を続けることに執着するより、過去のキャリアを新しい仕事につなげて、培ってきた個性により磨きをかける。それこそが、変化の激しい時代に求められるキャリア形成の視点なのかもしれません。

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