人材投資促進税制
人材投資促進税制とは?
人材育成に積極的に取り組む企業を支援するため、教育訓練費の一定割合を法人税額から控除する制度。2005年度の税制改正で創設されました。
教育訓練費を増加させた企業が
受けられる税法上の優遇措置
1990年代のバブル崩壊後、経済活動が低迷して以降、企業の多くはリストラを迫られ、人材投資が停滞しているのが現状です。研修費用の給与総額に占める割合は、欧米の約2分の1、中国の約5分の1にまで落ち込んでしまいました。
このままでは日本企業の産業競争力の低下は避けられない状況です。こうした人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業の戦略的な人材教育への取り組みを強力に後押しするため、創設されたのがこの制度です。
具体的には、教育訓練費を前2事業年度の平均額(基準額)より増加させた企業については、増加額の25%に相当する金額を、当期の法人税額から控除するというものです。たとえば教育訓練費(前2事業年度平均)が1億円の企業が、当期における教育訓練費を2000万円(20%)増加させた場合、法人税額控除は2000万円(増加額)×25%(控除率)=500万円となります。
また中小企業については特例として、教育訓練費を基準額より増加させた場合、教育訓練費の総額に対し、増加率の2分の1に相当する税額控除率(上限20%)を乗じた金額を、当期の法人税額から控除します。たとえば教育訓練費(前2事業年度平均)が1000万円の企業が、当期における教育訓練費を200万円(20%)増加させた場合、法人税控除額は1200万円(総額)×20%×1/2(控除率10%)=120万円となります。
この税額控除の対象となる費用は、指導員に支払う講師料や指導員料、研修用教材やプログラムの購入費、研修を行うために使用する外部施設の利用料、企業経営の観点から企業が従業員の教育訓練上必要なものとして指定した講座への参加費用などです。
3年間の措置とはいえ、国の財政再建が緊急の課題とされ、既存の租税特別措置がなくなりつつある中での減税措置だけに、注目している企業は少なくないようです。
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