100年企業
100年企業とは?
「100年企業」とは、創業以来100年を超えて事業を継承する企業を指し、いわゆる“老舗企業”“長寿企業”の意味で使われる言葉です。日本は世界有数の長寿企業大国といわれ、東京商工リサーチの調査によると、創業100年以上の企業は2012年時点で2万7,441社あることがわかっています。そのうち東証など国内証券取引所に上場する企業は469社。100年企業の大部分は中小・零細企業で占められています。
改元が引き起こした100年前の起業ブーム
「本業重視」など長寿の秘訣に海外も注目
2012年は「100年企業」の“誕生ラッシュ”が話題となりました。東京商工リサーチのデータによると、同年に創業100周年を迎えた企業はシャープ、JTB、カンロ、ヤンマーなどをはじめ、全国で1960社を数えました。前年(571社)の3.4倍に増加し、過去5年間で比較しても突出して多くなっています。なぜ急増したかというと、この年に100周年を迎えた企業の創業年は大正元年(1912年)、年号改元の影響が人心を一新し、起業ブームを呼んだからだと言われています。当時の新元号の「大正」を社名に冠した大正製薬、家具の大正堂も同年に100周年を迎えました。
100年以上続く長寿企業のうち創業が最も古いのは、世界最古の企業としてよく知られる社寺建築の株式会社金剛組(大阪府)です。業歴はじつに1400年以上。四天王寺建立のために飛鳥時代に創業されました。業歴の上位5社は以下の通りです。
●第1位 創業578年 株式会社金剛組(木造建築工事業)
●第2位 創業587年 財団法人池坊華道会(生花・茶道教授業)
●第3位 創業705年 有限会社西山温泉慶雲館(旅館、ホテル)
●第4位 創業717年 株式会社古まん(旅館、ホテル)
●第5位 創業718年 有限会社善吾楼(旅館、ホテル)
企業の“平均寿命”は約30年とよくいわれます。毎年、全国で約10万社もの新しい企業が生まれている一方で、廃業した企業の割合(廃業率)は6.2%と、長期的な増加傾向に歯止めがかかっていません。企業の優勝劣敗は今後も激しさを増すでしょう。そうしたなか、組織内・外の環境変化を乗り越えて会社を100年以上も続けるのは並大抵のことではありません。だからこそ日本にはなぜ100年企業が多いのか――長寿の秘訣に海外からも注目が集まっているのです。
08年5月、韓国銀行は「日本企業の長寿要因および示唆点」と題するレポートを発表しました。その時点で韓国内には、創業100年を超える企業は1896年創業の斗山と1897年創業の東洋薬品工業の2社しかなく、創業200年を超える企業は1社もありませんでした。レポートは、日本の老舗企業が長い歳月を耐え抜き“永続繁盛”している要因として「本業重視」「信頼経営」「透徹した職人精神」「血縁を越えた後継者選び」「保守的な企業運用」などを挙げ、それ以外に外国からの侵略が少なかったことや職人を尊重する社会の雰囲気といった外的要因も影響を与えたと分析しています。
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