企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】シニア アントレプレナー シニア・アントレプレナー

「シニア・アントレプレナー」とは、60歳前後のシニア世代になって会社を興したり、NPO・NGOなどを立ち上げたりする起業家(アントレプレナー)のことです。企業人として長く勤めた会社員が、定年を契機に「豊富な経験を活かして社会貢献がしたい」と踏み切るケースが増えています。労働人口が減少に転じるなか、シニア世代による起業を支援する取り組みも官・民それぞれに広がっています。
(2013/3/25掲載)

シニア・アントレプレナーのケーススタディ

改正高年法施行がシニア起業を促進か
利益拡大にこだわらず社会貢献を重視

総務省の「就業構造基本調査」で起業家の年齢層別割合の推移をみると、60歳以上の年齢で起業した人の割合は1979年の7%から2007年には27%と、じつに4倍近く増えています。しかも07年に限れば、60歳以上の起業家の割合は他のどの年代より大きくなっています。シニア・アントレプレナー増加の主な要因は、高齢化の進行に加えて、ITの発達などで起業に必要な設備負担が軽減されたこと、そして何よりも若い年代に比べて経験や人脈、資金の蓄積が潤沢で、起業を実現しやすいことにあると考えられます。

リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長は、今年4月にスタートする改正高年齢者雇用安定法がこうした傾向に弾みをつけるのではないかと述べています。65歳まで希望者全員を雇用することを企業に義務付ける同法が施行されれば、人件費負担を少しでも軽減しようと、賃金引き下げなど労働条件の変更に動く企業も増えるでしょう。そうなると、気力・体力ともに十分なシニアの中には「労働条件が変わるなら、いっそ起業して自分の能力をとことん活かしてみたい」という発想から、雇用継続より起業の道を選ぶ人たちが現れるのではないかと予測されるわけです(ダイヤモンド・オンライン2013年2月15日付配信)

シニア・アントレプレナー向けの公的な融資制度「シニア起業家資金」を運営する日本政策金融公庫の調査(12年度)によると、シニア起業の特徴は「ローン返済や教育費の支出もほぼ終えているので、利益拡大にこだわらず、社会貢献を重視する傾向がある」点だといいます。同調査の結果からシニア・アントレプレナーが選んだ開業業種をみると、最も割合が多いのは医療・福祉(22.1%)で、次いでサービス業(17.9%)、飲食店・宿泊業(14.7%)となっています。開業動機については「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」が51.1%で最も多く、「社会の役に立つ仕事がしたかった」と「年齢・性別に関係なく仕事がしたかった」(いずれも36.2%)が続いています。半数以上は年金などほかの収入があるためか、収入に対する考え方として「できるだけ多く」と答えたシニア起業家の割合は26.6%、若い世代をはるかに下回っています。

こうしたシニア世代の起業を促進するために、企業としては何ができるのでしょうか。上述の調査で、シニア起業家の斯業経験年数(現在の事業に関連する仕事の経験年数)をみると、平均で17.8年と他の年代層より長く、分布では「30年以上」の割合が最も高くなっています。前職の勤務先での長い経験が起業に活かされていることは間違いありません。その意味では、競業制限規定や兼務禁止規定といった社内規定の緩和が進めば、自社OB・OGによる退社後の起業が促進される可能性は十分にあります。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

エンプロイメンタビリティ
「エンプロイメンタビリティ」(employmentability)とは、「企業の雇用能力」を意味する用語です。雇用される側からみて魅力的な企業か、継続的に雇用されたいかといった価値に関する概念で、雇用主としての能力や優秀な人材をひきつける吸引力を表します。単に高報酬を保障できればいいということでは...
改正高年齢者雇用安定法
65歳まで働き続ける環境整備を企業に義務づける法律。高年齢者の安定的な雇用確保のため、65歳までの雇用確保措置の導入が事業主の義務となった(2006年4月施行)ほか、雇用者の再雇用促進などを図る措置(2004年12月施行)も盛り込まれています。
経験学習
人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べるという考え方を、人材育成の領域では「経験学習」と呼びます。組織行動学者のデービッド・コルブはこうした学びを、体系化・汎用化された知識を受動的に習い覚える知識付与型の学習やトレーニングと区別し、「経験→省察→概念化→実践」という4段階の学習サイ...

関連する記事

外国人を雇用している企業は過半数、「さらに増やす」「今後雇用する」企業も半数近くに
人事担当者に外国人の雇用状況について聞いたところ、現在雇用している企業は過半数で、「さらに増やす」「今後雇用する」企業も半数近くであることがわかった。
2019/08/20掲載人事白書 調査レポート
起業経験を強みにできない人材、できる人材
グローバルな企業間競争を勝ち抜いていかなくてはならない現代。安定志向の強い社員はいらない、自分で起業するぐらいの経営者感覚を持った人材が欲しい、という企業は多いものの、「起業経験者は、チャンスがあればまた起業したいと思っているのではないか」という懸念も…。今回...
2011/11/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
「新卒で起業」経験者の転職
日本と海外とでは、同じ大学生でも大きく異なる特徴があるという。「日本の優秀な学生は大手企業や官僚志向が強いが、海外の優秀な学生は自ら起業する」というものだ。確かにマイクロソフトやフェイスブックなど、時代を変えてきた海外の企業には、学生が創業したところが多い。最...
2015/04/01掲載人材採用“ウラ”“オモテ”

関連するQ&A

障害者の雇用
障害者を雇用する際の留意点を教えて下さい。 また、助成金などについても併せて教えて下さい。 当社は、小売業です。 現在、雇用率0.6%です。
定年再雇用の勤務時間について
対象者から週5日9:00~16:00の時間帯での勤務希望が出て来たのですが、週5日9:00~17:30の時間帯であれば再雇用は出来るが、そうでなければ再雇用出来ないと言う事は可能ですか?宜しくお願い致します。
障害者雇用の雇用率カウントについて
障害者の雇用を促進しています。最近のニュースで、雇用している社員の副業について承認する企業も 増えてきていると聞きました。 例えば会社で雇用している障害者の方が副業をしていた場合、雇用している会社での雇用率カウントの考え方はどうなりますか。 何か算定基準がありますか
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ キャリア開発 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

POSITIVEの導入事例はこちら 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


人手不足と多様化の時代<br />
「給与前払い」は人材採用のフックとなるか?

人手不足と多様化の時代
「給与前払い」は人材採用のフックとなるか?

人材獲得施策にはさまざまなものがありますが、最近注目されているツールが...