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【ヨミ】ショウガクキンセイド 奨学金

「奨学金」とは、能力があるにもかかわらず、経済的・金銭的な理由で修学困難な学生を支援するために、国や地方自治体、大学、民間企業などが学資金を給付・貸与する制度、または資金そのものを指します。多くの場合、奨学金の受給要件として学生本人の学力や保護者の所得などの基準が設けられています。日本の奨学金は、欧米と違い、大部分が卒業後に返還義務を負う貸与型ですが、近年、不況や雇用悪化で利用者が貧窮し、返済に行き詰まるケースも急増しています。
(2013/1/28掲載)

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奨学金のケーススタディ

受給率増に比例して返済の延滞も深刻化
社員の負担を会社が肩代わりする制度も

長引く不況により、奨学金を利用する学生は増える一方です。国内最大の奨学金貸与機関、独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、2010年度の大学生(昼間部)の奨学金の受給率は50.7%と初めて5割を超え、20年前(21.8%)と比べると倍以上に伸びています。これに比例して、奨学金を返す負担も増大。日本学生支援機構の貸与型奨学金には無利息の「第一種」と、利息がつく「第二種」がありますが、いずれも返済を延滞するケースが増えているのです。

10年度の返済延滞者は返還義務のある利用者全体の12.1%を占めています。延滞債権額も膨らみ続け、10年度は852億円と5年前の約1.5倍に達しました。延滞をめぐるトラブルは訴訟にまで発展。同機構が奨学金返還を求めて全国の裁判所に起こした訴訟件数は、06年度の547件から9倍近い4,832件に急増しています。

背景に浮かぶのは、卒業して社会に出ても経済的に困窮する若年層の姿です。同機構が返済延滞者に対し、延滞が始まった理由(きっかけ)を尋ねたところ、「収入が減った」が最も多く61.1%、次いで「支出が増えた」が15.1%で、この二つの経済的理由だけで全体の7割を超えました。延滞が継続している理由についても「本人の低所得」が最も多く、ほぼ半数を占めています。また延滞していない利用者に聞いても、4割以上が「現在、奨学金の返済が負担になっている」と回答しました。

こうした若者の窮状に、企業はどう対応していくべきか――。注目すべき事例があります。ウエディングプロデュース・レストラン運営のノバレーゼ(本社:東京都中央区)では、奨学金返済が社会問題として浮上するなか、社員が返済している奨学金の残余額に対して最大200万円を支給する「奨学金返済支援制度」を設けました。支給対象者は勤続年数5年と10年の正社員。2度の節目に未返済分があれば、それぞれ100万円を上限として支給するしくみです。同社社員の約3割が奨学金の利用者で、発案した人事担当者自身も学生時代に受給していたそうです。

会社が社員の奨学金返済を肩代わりするといった制度は、業界内外を見渡してもほぼ前例がありませんが、同社では、奨学金を得て進学するほどの優秀な人材の確保につなげるとともに、若手社員のモチベーションアップをはかり、長期雇用の促進を期待しています。

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