バランス・スコアカード
バランス・スコアカードとは?
BSC(Balance Score Card)。企業や組織の目標を定め、その実現のために個々の目標を設定、管理、評価する目標管理・業績評価の一手法です。人事マネジメント分野では「戦略的目標管理制度」と呼ぶケースもあります。米国で考案されて、発展した経営戦略ツールですが、日本でも導入を目指す企業や自治体が増えてきました。
大企業や自治体が相次いで導入
4つの視点から業績を評価する
ハーバード・ビジネス・スクールのロバート・キャプテン教授が経営コンサルタントのノーラン・ノートン博士とともに、1992年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌上に発表した業績評価のモデルが起源とされています。両氏は財務に偏った業績評価だけでは目先の利益を追い求めがちで、将来のマネジメントに必要な取り組みが見落とされてしまう危険性を指摘、「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」の4つの視点から企業や組織の業績を評価する手法を提唱しています。
評価のポイントとなる4つの視点はそれぞれ独立しているのではなく、各指標間の因果関係に基づいて設定されることが求められます。従来の業績評価が結果の評価のみで、結果を生み出すためのプロセスを一切評価していないのに対して、BSCでは結果とプロセスのバランスを重視した評価になります。そのため、結果偏重で短期的な視点に陥りがちな目標管理制度を補完でき、また会社目標と部門目標のバランスや、株主・顧客・役員などのステークホルダーのバランスを維持しながら、組織変革の推進ができると言われています。
大手企業でBSCを導入しているのは、事務機器大手のリコーや飲料大手の宝酒造など、かなりの数に上っており、最近では地方自治体が導入する例も増えてきました。2004年度から導入した東京都千代田区の場合、区民生活部、保健福祉部、まちづくり推進部、環境土木部、教育委員会事務局の5つのセクションで、BSCの4つの視点をベースに15〜20の評価基準を設定、合計で100点になるような配点方法が取り入れられています。
BSCは中長期的な経営改革・戦略構築のツールであり、つねに経営トップがコミットし続けることが重要です。拙速に導入して失敗する例もあるため、試験的に一部組織に導入し、そこで成功させたうえで全社に導入している企業もあります。
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