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【ヨミ】セルフエンプロイド セルフエンプロイド

「セルフエンプロイド」とは、直訳すると「自己雇用」「自分で自分を雇用している人」という意味で、一般には個人で働く自営業者や起業家を指します。近年は高度な専門性と自律性によって、組織に所属していながら自分自身が自らの経営者であり従業員でもあるような働き方を実現しているプロフェッショナル人材も、セルフエンプロイドとして注目されています。また、そうした就労形態を「セルフエンプロイド型」と呼びます。
(2012/5/14掲載)
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セルフエンプロイドのケーススタディ

“雇わない・雇われない”関係に注目
組織内でも自律したプロ人材の育成を

日本IBM株式会社では、特に専門性の高い業務に精通し、かつ、会社に対してゆるやかな専属制を希望する人材を対象に、「セルフエンプロイド」という準委任契約を結ぶ制度を実施しています。従来の一般社員との違いは、雇用契約を交わすのではなく、個人事業主として同社から業務委任を受けること。つまり会社との雇用関係はなく、退職金も社会保険もなし、就業規則も適用されません。所得は事業所得となり、兼業も可能です。一般社員がこのセルフエンプロイド型への移行を希望する場合、制度の適用に年齢制限はありませんが、いったん退職した上で新たに契約を結び直す形となります。かつてはコンサルタント職だけの制度でしたが、2006年度からは対象を技術系職種にも拡げて運用しています。

こうしたセルフエンプロイド型に類似する就労形態として「インディペンデント・コンストラクター」(IC=独立業務請負人)があります。これも被雇用者ではなく、事業家とも違う“雇わない・雇われない”働き方のひとつ。豊富な勤務経験を通じて身につけた知識やスキルを糧に、専門性の高い仕事を複数の企業から業務単位で請け負う、独立した個人事業者を意味します。03年に設立された特定非営利活動法人インディペンデント・コントラクター協会によれば、アメリカではすでに900万人近くがICとして活躍しているといいます。

セルフエンプロイドであれ、ICであれ、組織に依存も従属もしない自律的な働き方はすでに、金融業界のファイナンシャルアドバイザーや製薬業界の医薬情報担当者(MR)、各種コンサルタントといった職種にも導入事例が見られます。企業にとっては、業務量の繁閑に応じた発注の実施や法定福利厚生費の低減でコスト面のメリットが期待できる上、成果主義が大きく反映されることから個人のモチベーションアップによる業績の拡大にも資することに。こうした人材の活用法が今後、さらに普及・定着していくのは間違いないでしょう。

組織の一員として勤務する社員も、今後は自分自身が経営者であり従業員でもあるようなセルフエンプロイドな人材となるように育成していかなければ、結果的に組織も活性化されず、企業競争力の面で後れを取りかねません。セルフエンプロイドの本質とは、雇用関係の有無や契約のいかんにかかわらず、組織を活かして、高度な専門性と自律性を持った真のプロフェッショナル人材を目指すことに尽きるのです。

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