オープン・リーダーシップ
オープン・リーダーシップとは?
「オープン・リーダーシップ」とは、従来の“垂直型”のリーダーシップのように職務上の権限で組織を統制するのではなく、尊敬と信頼、徹底的な情報共有と権限委譲を求心力にして、現場や一人ひとりの社員とオープンな関係を構築しようとする新しいリーダーシップのあり方です。ソーシャル・メディアの台頭などにともなう社会の透明化、オープン化が、マネジメントに求められる役割やあるべきリーダー像にも変化をもたらしているとされ、この新概念に注目が集まっています。
“透明性の時代”のリーダー論
情報を共有しコントロールを手放す
「オープン・リーダーシップ」と呼ばれる新しいテーマが浮上した背景には、先に述べたとおり、インターネットやソーシャル・メディアの急激な発達とそれを自在に使いこなす世代の台頭がありました。2010年末から今年初めにかけて、チュニジア、エジプトの両国でfacebookやtwitterなどソーシャル・メディアを“ツール”とした民主化運動が高まり、政権打倒にまで至ったのは記憶に新しいところですが、こうした時流のうねりはすでに経済活動にも押し寄せています。
あらゆる情報が世界中の人々に一瞬で開示され、共有される透明性の時代にあっては、企業リーダーは、自らに都合の悪い事実を覆い隠すことができません。組織における情報統制が困難になり、自律的に社内外と交流しネットワークを形成する社員に対して、上意下達でコントロールするような、旧態依然のリーダーシップは通用しなくなっていくでしょう。それが「オープン・リーダーシップ」の前提となる問題意識です。
ビジネスの側面から見ても、経済のサービス化が進み、顧客接点である現場の重要性は高まるばかり。したがって必要な情報をオープンにするとともに、社員一人ひとりを信頼し、自律的な判断を尊重するマネジメントスタイルへとシフトしていくのは必然の流れといえます。これに逆らえば、優秀な人材のほうから組織に嫌気がさし、企業を離れていきかねません。
著書『Open Leadership』においてこの新概念を提唱した戦略コンサルタントのシャーリーン・リー氏は、「オープン・リーダーシップとは、謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、コントロールを手放した相手から献身と責任感を引き出す能力を持つリーダーのあり方」と定義しています。そしてそうしたリーダーシップを実現し、フォロワーと新しい関係を構築するために、次の五つのルールを挙げています。
(1) 顧客や社員が持つパワーを尊重する
(2) 絶えず情報を共有して信頼関係を築く
(3) 好奇心を持ち、謙虚になる
(4) オープンであることに責任を持たせる
(5) 失敗を許す
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