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【ヨミ】クライシス コミュニケーション クライシス・コミュニケーション

「クライシス・コミュニケーション」(Crisis Communication)とは、非常事態の発生によって企業が危機的状況に直面した場合に、その被害を最小限に抑えるために行う、情報開示を基本としたコミュニケーション活動のことです。リスクマネジメントの一環として、事実関係や実施する危機管理対策の内容を各ステークホルダー(利害関係者)に迅速かつ適切に伝達するのが、クライシス・コミュニケーションの最も重要な役割です。
(2011/4/18掲載)

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クライシス・コミュニケーションのケーススタディ

危機管理の要諦はコミュニケーション
社内で正しく伝われば社外にも伝わる

非常時に企業を脅かす被害を最小化する――これがクライシス・コミュニケーションの意義ですが、その対応を誤ると、被害を小さくするどころか、決定的に悪化させてしまうこともあります。危機発生後の、批判にさらされやすい状況下で、ステークホルダーが納得するような適切なコミュニケーション対応を行うのは想像以上に難しいことです。過去の危機管理の失敗例を見ても、事実の公表が遅れて隠ぺいを疑われたり、記者会見に誤りや失言があったりするなど、問題はたいてい、発生した危機そのものより、それに対する企業のメッセージが社内外に正しく伝わらないというコミュニケーションの不備にありました。だからこそ組織を挙げて、適切なクライシス・コミュニケーション対策に取り組む必要性が指摘されるのです。

クライシス・コミュニケーションの対象となるのは、一般消費者をはじめ、メディアや地域住民、取引先、株主、投資家など、企業を取り巻くすべてのステークホルダーです。とくに重視されるのが、取材や記者会見でのメディアへの対応。なぜなら社外のステークホルダーにとっては、メディアが実質的な情報源となるからです。

しかし社外に向けた活動を奏効させるためには、それ以前にもうひとつの情報の流れ、すなわち社内におけるコミュニケーションを適切に進めておく必要があります。企業は、自らの内にも、従業員というきわめて重要なステークホルダーが存在することを忘れてはなりません。社内で危機が発生した場合、まず現場からしかるべき上司や部署へ第一報が入りますが、それを軽視して、被害を拡大させてしまうことがあります。顧客のクレームが現場から上がっていたのに、「あの店舗だけの問題」と過小評価して大規模な食中毒事故への発展を防げなかった、というような不祥事も過去にたびたびありました。また危機の発生が経営陣の耳に入るまでに時間がかかったり、耳に入っても対策本部の設置や記者会見の実施などの決断が先送りされたりするなど、初期対応の遅れも社内におけるコミュニケーションの典型的な失敗パターンといえるでしょう。

そしてどんな事情があろうとも絶対に避けなければならないのは、事件・事故や不祥事などの事実を把握しながら外部に公表しない、あるいは公表を遅らせるといった組織的な隠ぺい工作です。隠ぺいは必ずといっていいほど「内部告発」の形で発覚します。従業員が、不利を覚悟であえて情報を流出させるのは、組織の一員であるとともに、企業の利害関係者=ステークホルダーでもあることの証拠にほかなりません。だからこそ見逃せないのです。外部への速やかな公表を決めた段階で、全社員に向けても一定の情報開示を行い、危機の概要と外部への対応方針に理解と協力を求めるべきでしょう。このタイミングが遅れると、顧客が自社の担当者より先にメディアから情報を得てしまい、危機管理に不信感を抱くなどトラブルを招きかねません。

危機情報をトップにまで迅速かつ正確に伝達すると同時に、組織全体で適切に共有するしくみを確立し、日頃から徹底しておくことが、社内におけるクライシス・コミュニケーション活動の重要なポイント。人事部門にも、研修やセミナーを企画・実施するなど、社員の意識と知識を高めるための施策が求められます。

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