企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】コンティンジェンシープラン コンティンジェンシープラン

コンティンジェンシーとは「偶発性」「不確定性」の意。災害・事件・事故などの不測の事態が企業の事業やプロジェクトの維持・継続に支障を来すことを想定し、その被害・損失を最小限にとどめて業務を速やかに復旧できるように、あらかじめ定めておく対応策や行動手順を「コンティンジェンシープラン」(contingency plan)と呼びます。不測事態対応計画、緊急時対応計画、あるいは危機管理計画などと訳されます。
(2011/4/11掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コンティンジェンシープランのケーススタディ

3.11 東日本大震災の教訓を活かし
有事への対応を真剣に検討すべきとき

戦後最大の国難といわれる東日本大震災では、地震や津波の衝撃の凄まじさや、それによってもたらされた被害・損害の甚大さに関して、「想定外」という表現が頻繁に使われています。たしかに被災地はいうに及ばず、直接被災しなかった地域においても、その後の計画停電や交通・流通網の機能不全、また、人心の混乱によって、社会活動や経済活動はかつてないほど厳しい対応を強いられました。しかしそうした事態に対して、“想定外”なのだから、事前に準備をしていてもしていなくても、結果は変わらなかったとする指摘は当たりません。

何らかのコンティンジェンシープランがあるとないとでは、やはり大きな違いがありますし、少なくとも事前に方針やルールが定めてあれば、たとえ想定を超えた状況に直面しても組織的な対応のベースにはなります。手掛かりも何もないゼロの状態から各人がとっさに判断して行動するより、スピードと的確さの点で勝るでしょう。

コンティンジェンシープランを策定するにあたってはまず、どういう不測の事態が考えられるのか、対象となるリスクを洗い出し、その発生頻度や可能性、影響度を評価します。災害としては、震災のほかにも火災や台風、大雨・大雪、あるいは新型インフルエンザのような疫病の流行など。事件・事故では、犯罪関連やテロも考えられますし、回線障害やシステムダウン、停電などの各種インフラ障害、重大なクレームやリコールも不測の事態といえるでしょう。またそれらがもたらす損害についても、人的被害を含め信用失墜、利益損失、損害賠償などさまざまな影響を具体的に想定しておく必要があります。

次に、そうした非常事態にどこまで対応するのか、目的・目標を設定し、達成するために必要な各種対策を策定します。たとえば「3日以内に生産を再開する」といった対応水準を決めることによって、それをクリアするための要件――非常時の指揮命令系統の確立、代替施設の選定、生産ラインの複線化・分散化、応援要員の確保などが導き出され、事前準備や実際に対応する際の具体的な手順も明確化されるのです。

さらには取り組みを形骸化させないために、年1回程度は関係者で対応を確認する機会を設けたり、可能であればシミュレーション訓練をしたりといったことも求められます。そうした機会があれば、社会情勢の変化や設備の更新などにともなって対策をバージョンアップさせることも可能です。

これまでは、この種の問題に対して腰の重い企業も少なくありませんでした。リスクをいくら頭で思い描いていても、実際に目の当たりにしなければ、人間はなかなか動けないものです。逆に言えば被害が顕在化し、経営陣の理解や従業員の協力が得やすいいまこそ動くチャンス――今回の大震災の教訓をもって、コンティンジェンシープランの策定および見直しに、組織を挙げて取り組む機会とすべきではないでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

クライシスマネジメント
「クライシスマネジメント」とは、企業が事業継続や組織そのものの存続を脅かすような危機的状況(クライシス:crisis)に直面した際に、組織としてその被害を最小限に抑えるために行う一連の活動および対処法のことです。発生の確率は低いものの、ひとたび起これば組織への影響が甚だしい重大なリスク――例えば地...
CSIRT
「CSIRT」とは、Computer Security Incident Response Teamの略。企業や行政機関などの組織内に設置され、コンピュータシステムやインターネットなどのネットワークに保安上の問題や事故(インシデント)が生じた際に対応する専門チームのことで、一般に「シーサート」と呼ば...
BCP(事業継続計画)
自然災害やテロ、感染症など、不測の事態への備えとして重視されているのがBCP(事業継続計画)です。地震などが発生した際、事業を継続・早期復旧させることが目的です。企業自体に問題がなくても、外的な影響によって甚大な損失が発生する可能性がないとは言い切れません。昨今では想定外の雨量による水害・土砂崩れな...

関連する記事

「人口減少」と「団塊の世代の大量定年」は、企業の人事戦略にどのような影響を与えるか?
国立社会保障・人口問題研究所の2002年1月の推計では、日本の総人口は「2006年をピークに減少していく」と見込まれています。しかし昨年8月に発表された厚生労働省の「人口動態推計」(2005年上半期)では、統計開始以来、初めて減少を示し、もうすでに日本の人口が...
2006/03/13掲載人事・労務実態調査
廣井悠さん: 大災害が起きた時に社員の安全を守る 人事が知るべき「帰宅困難者対策」とは(後編)
「首都直下地震」などの災害時に社員を帰宅させない、帰宅困難者対策。社会的問題への対応、また自社のBCP(事業継続)の点でも非常に重要であることを「前編」では確認しました。では、具体的にどのような計画を講じ、マニュアルを作成し、訓練を行っていけばいいのでしょうか...
2017/12/20掲載キーパーソンが語る“人と組織”
緊急調査 企業のマイナンバー対応状況アンケート
2016年1月より、社会保障・税番号(マイナンバー)制度が導入された。企業は、マイナンバーの収集、法定調書への記入に加えて、厳重な情報管理が求められている。企業はどの程度マイナンバー制度に関しての対応の準備ができているのだろうか。企業の対応状況について、WEB...
2016/04/06掲載人事・労務実態調査

関連するQ&A

時間外のトラブル対応について
いつもお世話になります。 真夜中のシステムトラブルで、エンジニアが勤務時間外に顧客に呼び出されて対応する場合、雇用契約ではどのようなあつかいになりますか?これまではとくに会社と個人との誓約書や契約などは結ばずきたのですが、もし「契約にないので対応できません」という方が今後いないとも限りません。他社さ...
給与差し押さえへの対応
従業員に対して裁判所より「給与差し押さえ」についての書類が届きました。 この場合の対応はどのようにしたら宜しいのでしょうか?
電話対応業務
弊社では顧客対応窓口として平日1000-1800を電話対応時間としております。 この場合1日8時間勤務(1000-1800の間着席義務を課す)の契約で担当者を雇用することは可能なのでしょうか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


成果を生み出す 従業員「エンゲージメント」の主要10ステップとは?

成果を生み出す 従業員「エンゲージメント」の主要10ステップとは?

アジアを中心とした新興国市場の拡大に伴い、外国人従業員の採用、グローバ...


世界の有力ビジネススクールも大注目!<br />
「内省と対話」でミドルマネジャー再生のモデルケースを創る

世界の有力ビジネススクールも大注目!
「内省と対話」でミドルマネジャー再生のモデルケースを創る

会社の休み時間に、同じような経験や悩みを持つマネジャーが自主的に集まり...