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【ヨミ】タメシシュッキン 試し出勤

「試し出勤」とは、うつ病などメンタルヘルスの不調で会社を長期休職していた社員が、スムーズに職場復帰へ移行できるようにするための支援策の一つ。時間をかけて出勤時間や日数を段階的に増やし、勤務や業務負担に慣れていくやり方が一般的です。「リハビリ出勤」「慣らし出勤」とも言われます。
(2011/1/17掲載) 

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試し出勤のケーススタディ

性急な職場復帰によるトラブルを回避
ルールを明確にした上で慎重な運用を

メンタルヘルスの不調に陥った人が長期間の療養の休職から職場復帰した後に、十分働ける状態に回復しなかったり、症状が再び悪化したりして休職に逆戻りすることがよくあります。その多くは“性急な復帰”が原因。本人にしてみれば、どうしても評価や雇用が気になり、出社するタイミングや仕事量を増やすペースを焦ってしまうのです。その結果、悪化や再発を招き、本人と職場の双方が大きなダメージを受けることに。こうした早すぎる復帰は、本人が自覚する回復のレベルと主治医が判断するレベル、さらには職場が期待するレベルとの間のギャップによるものと考えられます。産業医の亀田高志氏によると、うつ状態のケースでは、本人が元気だと自覚して復帰を希望する時期と、客観的な元気さを医師らが認めるタイミングとでは1ヵ月以上のズレがあるといいます。

試し出勤」は性急な復帰によるトラブルを防ぎ、スムーズな職場復帰を実現するための有効な支援策。社内制度として導入する企業も、年々増えています。2006年に社会経済生産性本部 メンタル・ヘルス研究所が行った調査(上場企業218社回答)によると、試し出勤制度がある企業は全体の37.6%。制度がある企業で「復職がうまくいっている」と答えた企業は62.2%で、制度がない企業を約10ポイント上回り、一定の効果が認められました。

同制度については、厚生労働省も09年3月に改訂した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の中で、早期復帰に効果があると指摘。10年7月には人事院が、うつ病などによる長期病休の増加が深刻化している国家公務員を対象に、試し出勤制度を導入すると発表しました。

ただし「試し出勤」は定義があいまいで、実際の制度運用にあたってクリアすべき問題も少なくありません。勤務なのか、勤務ではない単なる出社なのか。給与を支払うのか、支払わないのか。試し出勤期間中の事故などに労災は適用されるのか、されないのか等々。前述した厚生労働省の職場復帰支援の手引きでも明確な指針は示されていません。試し出勤の人事労務管理上の位置付けをあらかじめ明確にし、社内合意と周知徹底のもとにルール化しておく必要があるでしょう。制度を整えず、職場の都合で長期休職者や不調者に対して、やみくもに試し出勤を求めるのは非常に危険。就業規則や社内規定に定められた職場復帰支援プログラムに則って、公平かつ慎重に適用するのがメンタルヘルス対策上の鉄則です。

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