企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】キャリアラダー キャリアラダー

キャリアラダーとは、キャリアアップのための“はしご(ラダー)”という意味です。仕事を難易度や賃金に応じて複数の職階に細分化。それぞれの職務内容や必要なスキルを明確にし、下位職から上位職へ、はしごを昇るように着実に移行できるキャリア向上の道筋と、そのための能力開発の機会を提供するしくみをいいます。
(2010/6/21掲載)

キャリアラダーのケーススタディ

雇用の二極化と中間職階の減少で
キャリアアップの“はしご”喪失

キャリアラダー創出の必要性がいち早く論議されたのはアメリカでした。かつてのアメリカは、「アメリカンドリーム」の言葉どおり、社会の最下層で働く人々でも、努力と才覚しだいで上昇移動の途が開ける社会でした。しかし1980年代の新自由主義の台頭に伴って労働市場が激変し、雇用や賃金の二極化が進みました。高度教育や国際的・知的労働が求められる「ハイエンド雇用」と、さほど高度な教育を要しない労働集約型の国内向け「ローエンド雇用」が増加。一方で、IT化や雇用の海外移転により、それらの中間に位置する「中間職」が大幅に減少しました。

ピラミッド型だった職業構造は中間の細い“画びょう型”へと変容。スキルの乏しい労働者が、より賃金のいい仕事を目指したくても、上昇するためのラダーがなくなってしまいました。結果、彼らの多くは「デッドエンド・ジョブ(dead-end jobs)」(dead endは“袋小路”の意)と呼ばれる、先のない低賃金の非正規労働にはまり、貧困から脱け出せなくなってしまったのです。格差の固定化は、急速に進行していくことになりました。

ジョーン・フィッツジェラルド著『キャリアラダーとは何か』によると、こうした状況を打開するため、アメリカではここ10数年の間に何十ものキャリアラダー・プログラムが立ち上げられました。企業の側から見ても、「ローエンド雇用」の人材は短期離職率が高いため、定着を促す施策が求められていたのです。

日本では外食・小売・流通業を中心に、各企業が若年の非正規従業員を正規雇用に切り替えてキャリアアップへの道を開くなど、企業単位でキャリアラダーを導入するケースが増えています。その先駆はアパレル業界のGAPだといわれています。GAPでは、本社スタッフを除いて正社員の新卒採用は行っていません。マネジャー=正社員の多くは、時給契約の非正規雇用(同社ではセールス・アソシエイトと呼ぶ)からスタートし、経験とスキルを身に付けるたびに職階を昇り、キャリアを積み重ねていくシステムです。そこには、正社員へのキャリアラダーを意識させることで、非正規従業員のモチベーションを高めつつ、優秀な正社員も確保しようというねらいがうかがえます。

前掲した『キャリアラダーとは何か』の共訳者の一人である京都女子大学の筒井美紀准教授は、同書の前書きにこう記しています。「将来につながるまともな仕事(decent work)を、いかにして創出、再創出するのか。創出・再創出のみならず、いかにして拡大し維持するのか――とりわけ、とびきり高い学歴もスキルもなく、特別なコネもないような普通の人々のために。“いつクビになるか分からない雇用(precarious employment)”の不安が心によぎる、普通の人々のために。いま日本はこの問いを、理論的にも実践的にも解かねばならない」

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

エンプロイメンタビリティ
「エンプロイメンタビリティ」(employmentability)とは、「企業の雇用能力」を意味する用語です。雇用される側からみて魅力的な企業か、継続的に雇用されたいかといった価値に関する概念で、雇用主としての能力や優秀な人材をひきつける吸引力を表します。単に高報酬を保障できればいいということでは...
ジョブ型雇用
ジョブ型雇用とは、職務に応じて適切な人材を雇用するという考え方のことです。欧米ではすでにスタンダードな方法として定着していますが、日本では一部の大企業での導入にとどまっているのが現状です。日本では新卒一括採用に代表されるように、採用後に職務を割り当てる人事制度が主流となっています。
メンバーシップ型雇用
メンバーシップ型雇用とは、先に人材を確保し、後から仕事を割り当てる雇用のあり方を指します。終身雇用を前提とする日本の企業の多くは、メンバーシップ型雇用といえます。年功序列や終身雇用に見られるメンバーシップ型雇用は、これまで多くの日本の企業が取り入れてきた雇用形態です。これと対比されるのが、職務に応じ...

関連する記事

外国人を雇用している企業は過半数、「さらに増やす」「今後雇用する」企業も半数近くに
人事担当者に外国人の雇用状況について聞いたところ、現在雇用している企業は過半数で、「さらに増やす」「今後雇用する」企業も半数近くであることがわかった。
2019/08/20掲載人事白書 調査レポート
説明できる? 「あの人の方が給料が高い」理由
「同じ仕事なのに賃金が低いのはどうして?」 勤続が長く仕事の隅々まで理解したベテランパートよりも、何も知らない・できない 新人社員の方が賃金が高い、というのはよく聞く話です。 パート・アルバイトで働く人は、正社員との賃金格差についてどのような 不満と納得感を持...
2019/02/26掲載新卒・パート/アルバイト調査
「働き方改革」推進に向けての実務(1)同一労働・同一賃金など非正規雇用の処遇改善
ここでは「働き方改革」の代表的な施策についてその目的・課題と実務上のポイントを整理する。
2017/03/31掲載よくわかる講座

関連するQ&A

外国人労働者の雇用について
外国人の方を雇い入れる際の注意事項を教えてください。 また、正社員雇用に限らずアルバイトの雇用の際も同様となるのでしょうか?
障害者の雇用
障害者を雇用する際の留意点を教えて下さい。 また、助成金などについても併せて教えて下さい。 当社は、小売業です。 現在、雇用率0.6%です。
定年再雇用の勤務時間について
対象者から週5日9:00~16:00の時間帯での勤務希望が出て来たのですが、週5日9:00~17:30の時間帯であれば再雇用は出来るが、そうでなければ再雇用出来ないと言う事は可能ですか?宜しくお願い致します。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ キャリア開発 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。