企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】カタガワリホウ 肩代わり法

肩代わり法とは、2010年5月に成立し、同7月からスタートする改正健康保険法の通称です。同法は、中小企業の社員が加入する協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料アップを抑えるために、3年間の特例措置として、大企業中心の健康保険組合に負担増を求めるもの。協会けんぽに対する国の財政支援の一部を、健保組合や公務員らの共済組合が事実上「肩代わり」する形になったことから、肩代わり法と呼ばれています。
(2010/6/21掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

肩代わり法のケーススタディ

財政難にあえぐ協会けんぽの救済法
大手企業の健保組合が負担を「肩代わり」

長引く不況下での給与減に伴い、医療保険の保険料収入は激減しています。中小・零細企業の加入が多い協会けんぽは財政悪化が著しく、新法成立前の試算によると、赤字額は09年度見込みで約6,000憶円に拡大。8.2%(全国平均、労使折半)の保険料率を9.9%にまで引き上げないと、10年度には破たんする見通しでした。政府では、この保険料率の上昇を9.34%に抑えるために、協会けんぽへの国庫補助率を現行の13%から16.4%に増やすことに決定。しかし財政難は政府も同じ、協会けんぽの救済に要する国費の増額分を既存の財源だけで賄うことはできません。そこで目を付けたのが、健保・共済組合や協会けんぽなどが負担している後期高齢者医療制度への支援金です。

新制度では、この後期高齢者医療制度支援金(10年度計3兆5,500億円)の算定方法を変更。従来は健保、共済とも各組合への加入人数に比例した金額を拠出していましたが、一部を給与に応じた額とし、人数にかかわらず給与総額が高ければ負担が増えるしくみに改めました。これにより、健保と共済の支援金はそれぞれ500億円増、350億円増となり、協会けんぽの負担分は逆に850億円軽減されることになりました。この協会けんぽが拠出する支援金も16.4%は国費で賄われますが、新制度では給与総額に応じて支払う分への国庫補助がなくなるため、900億円の国費が浮くことに。これが、協会けんぽの保険料率抑制に充てられるわけです。

新制度の導入により、全体で500億円の負担増となる健保組合も、給与水準の低い3分の1強の組合は負担減となります。しかし健保組合もまた不況にあえいでいます。健康保険組合連合会(健保連)によると、10年度は新制度抜きでも、約9割にあたる1,295組合が赤字になる見込みです。赤字総額は過去最大の6,600億円にのぼり、352組合が保険料のアップを予定しています。すでに大手では、NECが09年4月から6.7%の保険料率を1%引き上げて7.7%にしています。ソニーは0.2%増の6.2%、デンソーは0.8%増の7.0%、カシオ計算機、セブン&アイ・ホールディングスはそれぞれ1%増の7.7%、8.2%に引き上げています。また西濃運輸や京樽のように、保険料率を引き上げても組合を維持することが難しく、解散に追い込まれるケースも相次いでいます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

産前産後休業保険料免除制度
「産前産後休業保険料免除制度」とは、産前産後休業(産休)期間中の健康保険料、厚生年金など社会保険料について、次世代育成支援の観点から、その支払いを免除する制度のことです。保険料の免除は事業主からの申出により、折半している被保険者本人負担分と事業主負担分の双方が対象になります。免除された保険料は支払っ...
給与公開制
従業員に支払われる給与は、一般的に各社の給与テーブルによって決められます。しかし、どの程度評価をされればどれだけ給与がもらえるのか、従業員に給与テーブルをはっきりと示していない企業は多いでしょう。一方で近年は、給与テーブルの完全オープン化を試みる企業が現れ始めています。給与額を公開する狙いは、不公平...
メリット制
「メリット制」とは、一定要件を満たす事業場の労災保険料率を、その事業場で発生した労働災害の多寡に応じて±40%の範囲内で増減させる制度のことです。労災保険率は、事業の種類ごとに過去3年間の災害発生率等を考慮して定められますが、同一の業種でも個々の作業環境や事業主による災害防止努力などの違いによって...

関連する記事

人事制度構築フロー
人事制度構築はどのような手順で行うのだろうか。ここでは、既存の企業が人事制度を新たに構築する際の一般的なフローを見ていく。
2013/04/26掲載よくわかる講座
「給与計算」とは
企業と従業員は、労働に対して給与を支払うという労働契約で結ばれています。遅配や支給ミスなどがあれば、従業員の信頼は大きく損なわれてしまうでしょう。ここでは労働契約の根幹を支える業務である給与計算の仕組みを正しく解説し、効果的な給与計算システムの導入やアウトソー...
2011/08/30掲載人事支援サービスの傾向と選び方
人事制度とは
人事制度とは、広義には労務管理を含めた従業員の「処遇」に関するしくみ全般を指す。ここではその意義と運用のポイントについてまとめた。
2017/06/30掲載よくわかる講座

関連するキーワード

分類:[ 労務・法務 ]
分類:[ 安全衛生 ]

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

イクメン企業アワード2019エントリー募集中

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


なぜヤマシンフィルタは“急成長”を遂げたのか 組織変革を実現する「評価制度」と「タレントマネジメント」

なぜヤマシンフィルタは“急成長”を遂げたのか 組織変革を実現する「評価制度」と「タレントマネジメント」

成長過程にある企業では、現状に合う組織づくりや人の育成が後追いになって...


いま、なぜ「ビジネスマナー」が求められるのか?<br />
~「型」を覚えることが人を成長させる

いま、なぜ「ビジネスマナー」が求められるのか?
~「型」を覚えることが人を成長させる

近年、若い人の言葉遣いや立ち振る舞いに対して、「違和感」を覚えることが...