採用ブランディング
採用ブランディングとは?
「採用ブランディング」とは、企業が採用活動を通じて、自社の魅力や価値観を求職者に伝え、「この会社で働きたい」と感じてもらうための取り組みのこと。優秀な人材への訴求を目指すだけでなく、ミッション・ビジョンへの共感など、企業文化に合う人材を引きつけ、入社後のミスマッチを軽減させることも目的の一つです。
中長期的に自社のファンを増やすには?
採用ブランディングの重要性が高まる理由
人手不足が続いています。厚生労働省が発表している「労働経済白書」によると、2023年のハローワークでの新規求人数に対する充足率は、特にフルタイム労働者が低水準で、約10%でした。労働経済白書では過去の人手不足を「短期かつ流動的」と表現していましたが、昨今の人手不足については「長期かつ粘着的」と表現しています。
採用ブランディングが重視される背景には、求職者の意識の変化があります。かつては買い手市場であり、一度入社したら定年まで勤め上げる慣習がありました。そのため、企業が自社について開示したり、宣伝したりする必要性はさほど高くありませんでした。しかし、現在は売り手市場であり、転職を繰り返しながらキャリアを形成していく人も増えているため、自社の魅力づくりが重要になっています。
採用ブランディングは、採用広報とは少し異なります。採用広報は短期的な集客を目的とし、採用関連情報を求職者に発信します。一方、採用ブランディングは、中長期的に自社の魅力や価値観を伝えることを目的としています。潜在的な採用候補者にポジティブな印象を訴求し、転職ニーズが高まったときに「この企業で働きたい」と想起してもらうため、採用情報にとどまらず広く企業情報を発信するのです。採用ブランディングは、企業全体のブランド戦略の一環として行われます。
採用ブランディングを強化するためには、さまざまなアプローチがあります。採用サイトでの訴求はもちろん、オウンドメディアやブログサービスを活用した発信、社員をアンバサダー化することによるSNSでのプレゼンスの向上など、手法は多様です。大切なのは、他社との差別化ポイントを言語化し、求職者がどのような情報を欲しているか捉えることです。
採用ブランディングにより、どのような効果が得られるのでしょうか。企業が自社の魅力を言語化し開示することで、求職者はカルチャーフィットするかどうかをある程度判断できるようになるため、ミスマッチの防止につながります。採用ブランディング活動の結果、クライアントや消費者からの認知度向上や信頼獲得につながることもあります。採用ブランディングの強化は、採用活動のみならず、中長期的に自社のファンを増やすことにつながるのです。
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