BPaaS(Business Process as a Service)
BPaaS(Business Process as a Service)とは?
BPaaS(ビーパース)とは「Business Process as a Service」の略称で、企業が特定の業務プロセスを外部企業にアウトソーシングできるクラウドサービスのこと。BPO(Business Process Outsourcing)とSaaS(Software as a Service)を掛け合わせたようなビジネスモデルで、企業はBPaaSを導入することで業務の効率化やコスト削減を実現できます。BPaaSを提供する事業者が、ITインフラやアプリケーションなど専門知識を要する作業を請け負ってくれるため、利用企業は自社のリソースをコア事業に集中できるメリットがあります。
2030年に市場規模が倍増するBPaaS
メリットと導入時の注意点とは
「SaaS」に「MaaS」「PaaS」など、「as a Service」と続くビジネス用語が続々と出現しています。「MaaS」はMobility as a Service、「PaaS」はPlatform as a serviceの略語ですが、「◯◯ as a Service」の◯◯に入る言葉はアルファベットのAからZまであると言われています。「XaaS(ザース)」という総称や「Everything as a Service」という表現も生まれ、「as a service」は定番になりました。あらゆるものがインターネットを介して「サービス化」しているのです。
サービスとしてのビジネスプロセスを表す「BPaaS」は、日本において認知度がさほど高いとは言えませんが、伸び代のある領域として世界的に注目されています。市場調査コンサルティング会社のSDKIによると、BPaaSの市場規模は2022年に687億米ドルへと成長。2030年には、1,389億米ドルに成長することが見込まれています。
「ビジネスプロセス(業務プロセス)」がカバーする領域は、主に、人事、財務、カスタマーサポートなど。これらのノンコア業務をアウトソーシングすることにより、企業は優秀な人材にコア業務に専念してもらうなど、自社のリソースを有効活用できます。
「BPaaS」は「BPO」と「SaaS」と、どのように違うのでしょうか。BPOは業務を外部に委託することで、アウトソーシングの具体的なアプローチは指定せず、オフショアなど人力に頼るケースも多い。一方、SaaSはインターネットを介したクラウド上のサービスで、ソフトウェアそのものを指すため、ソフトを動かす人員が必要な点で、アウトソーシングとは異なります。
BPaaSは、BPOのように業務を外部に委託しつつ、SaaSを業務プロセスの中に組み込み、業務プロセス全体をサービスとして提供します。そのため、SaaSの環境整備や人材育成の手間を省きつつ、生産性を上げられます。一方、BPaaSにはデメリットも。企業の個人情報や重要データの取り扱いを外部委託することになるため、セキュリティーリスクが高くなります。また、委託したベンダーに業務を丸投げして依存状態になると、トラブルがあった場合などに自社では解決できず、かえって時間とコストがかかることもあります。導入時には、これらの対策を練っておく必要があるでしょう。
以前からノンコア業務の外部委託は存在していました。しかし、大企業向けのサービスがほとんどで、中小企業はコスト面から断念せざるを得ない状況でした。BPaaSが台頭したことで、中小企業にも裾野が広がりつつあります。労働人口が減っていく日本社会において、生産性を高めるBPaaSの重要性は高まっていくでしょう。
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