壊れたはしご
壊れたはしごとは?
「壊れたはしご」とは、組織における女性の昇進が初期の段階から難しいことを例えた表現。マッキンゼー・アンド・カンパニーと女性の社会進出を支援する「LeanIn.Org」のレポート『Women in the Workplace 2019』では、主任や係長といった昇進の初期段階から、女性は男性の7割程度しか任命されていないと報告しています。また、上級管理職の女性比率はさらに低くなり、ジェンダーギャップが埋まらないとしています。はしごを登ろうにも、最初の一歩目が踏み出せない状況となっていることから「壊れたはしご」と例えられています。
「ガラスの天井」にすら届かない!
役員や管理職の女性比率が上がらない理由
2016年、ヒラリー・クリントン氏が米大統領戦に敗れた際に、「ガラスの天井を破れなかった」という主旨のスピーチをしたことで、「ガラスの天井」という比喩が浸透しました。女性など社会的マイノリティーが組織のトップに就こうとする際に直面する障壁を「ガラスの天井」と呼びますが、『Women in the Workplace 2019』が示したのは、ガラスの天井以前に、女性は「はしごすら登れない」という現状です。
このレポートによると、初期の管理職(主任や係長など)に昇進した男性を100人とした場合、女性は72人しか昇進していません。管理職の階層が上がるにつれて女性比率は下がり、上級管理職や経営者のジェンダーギャップが大きくなっていきます。
その背景には、「女性は育児・家事を担うもの」「リーダーは男性こそふさわしく、女性は適していない」などといった、ジェンダーバイアスがあります。女性が男性リーダーのように振る舞うと「女性らしくない」「攻撃的すぎる」と批判され、積極的な姿勢を見せないと今度は「リーダーに向いていない」「本人に意向がない」と批判される。これでは、女性の管理職が増えることはありません。
組織が「壊れたはしご」や「ガラスの天井」を乗り越えるためには、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを推進し、組織を構成する人材がアンコンシャス・バイアスについての知識を深める必要があります。また、採用や昇進におけるプロセスを見直し、公正で透明性の高い評価ができる仕組みを整えることも大切です。
いま上級管理職に就いている人たちも、主任や係長といった現場に近いリーダー職から始め、ステップアップしていった結果、現在に至っています。役員や部長レベルの女性比率を上げるためには、まず管理職の入り口である主任・係長への門戸を開かなければなりません。マネジメント適性に性差があるわけではなく、役割の割り当てによって経験値が形成されるのです。
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