カスケードダウン
カスケードダウンとは?
「カスケードダウン」とは、組織の上層が設定した目的や戦略を、下層へと展開していくこと。「カスケード(Cascade)」とは英語で小さな滝のことで、上流から下流へと情報が落ちるように組織に浸透することを表しています。たとえば企業においては、経営層が決めた目的・戦略・戦術をもとに、人事などのコーポレート部門や事業部門が目的・戦略・戦術を立て、さらに部や課、担当者へと伝わって実行されていくといった一連のプロセスを指します。
戦略人事を実践するために必要な
よどみのないカスケードダウン
経営資源には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などがありますが、企業にとって「ヒト」の重要性が高まっています。労働力が不足し、ビジネスの競争が激化している今、新たな企画を生み出したり、独自の組織風土を作り上げたりすることで企業価値を向上させられるのは「ヒト」だからです。イノベーションをもたらすのも、やはり「ヒト」が持つ知と知の融合。「ヒト」が成長の鍵を握っているのです。
そのような背景から、戦略人事に注目する企業が増えています。戦略人事とは、企業の経営目標を達成するために「ヒト」という資源を適切にマネジメントすること。人事戦略と混同しやすいですが、人事戦略は採用、育成、労務などの業務を改革するための戦略のこと。一方、戦略人事は、経営目標や事業目標の成否に関わる「ヒト」の戦略のこと。例えば、採用業務の効率化のために新ツールを導入するのは人事戦略ですが、事業目標を達成するために、今年中に経験者を10名採用するのは戦略人事です。
戦略人事を実践するためには、経営陣と人事が密接に連携する必要があります。経営陣から見て、人事はヒトのプロフェッショナルです。経営が定めた目的や戦略を人事へとカスケードダウンして、着実に経営目標を達成することが求められます。
組織が成長するためには、経営目標をカスケードダウンによって滞りなく担当者の業務まで落とし込まれなければいけません。ポイントは、それぞれのレイヤーで目的・戦略・戦術を設定する際に、上位層での「戦術」を下層の「目的」とすることです。例えば、企業の目的が「業界一位」、戦略が「新規顧客数○%アップ」、戦術が「女性への販促強化」だったとします。その場合、次のレイヤーである人事の目的は「女性への販促強化」となり、それを叶える人事戦略・戦術を設定。さらに、人事の戦術が今度は担当者の目的となるように、戦略・戦術を設定します。
経営陣や上層部だけが経営目標を把握していて、実際の業務を担う従業員まで行き届いていないということのないよう、カスケードダウンを滞りなく機能させることが重要です。
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