組織コミットメント
組織コミットメントとは?
「組織コミットメント」とは、所属する組織に対する帰属意識や関係性を表す概念のことをいいます。個人と組織の心理的距離が近く、組織や仕事の価値と自身の存在意義や個人的価値に強い結びつきを感じるほど、組織へのコミットメントが高い状態とされます。人材の定着率とも密接なつながりがあるため、離職率の低下を目指すのであれば、組織コミットメントを高めることが有効な手立ての一つとなるでしょう。
情緒的、存続的、規範的コミットメント
すべてをあげればいいわけではない?
「コミットする」という言葉をよく聞くようになりました。コミットは「Commitment(コミットメント)」の略語で、日本語では「約束」「責任」といった意味を持ちます。そのため、「コミットする」というと、「約束する」「責任を持つ」「真剣に関わる」といったニュアンスとなります。これに「組織」がつき「組織コミットメント」となると、個人が組織と「真剣に関わる」という意味合いが強くなり、帰属意識や関係性を表す概念となります。
組織コミットメントは、以下の三つの要素に分けることができます。
(1) 情緒的コミットメント
「この会社が好き」という感情。愛社精神や、組織と自分に一体感を感じていること。従業員が組織と心的なつながりを持ち、自ら組織に貢献しようとする「エンゲージメントが高い」という状態も、この情緒的コミットメントに近いものがあります。
(2) 存続的コミットメント(功利的コミットメント)
「この会社を離れるとどうなるか不安」「今辞めたら、また人間関係を一からやり直すのか」といった、組織から離れることにより発生する代償を考えることで、今の状態を維持しようとする姿勢。転職先が決まっているかどうかによっても、この要素の程度が変わってきます。「今辞めたら損失が大きくなる」といったように、損得を考慮した条件付きのコミットメントであることから「功利的コミットメント」とも呼ばれます。
(3) 規範的コミットメント
「社会人は、組織に尽くすべき」といった、理屈抜きの忠誠心のこと。
組織コミットメントの性質は、これらの三つの要素がそれぞれどの程度組み合わさっているかによって変わってきます。たとえば、情緒的コミットメントと規範的コミットメントの高い従業員は、組織内で好ましい行動をとり、成果をあげようとします。一方、存続的コミットメントの高い従業員は、どちらかというとその逆で、現状維持もしくは負の影響をもたらします。
単に定着率のことだけを考えるなら、三つの要素すべてを向上できるように検討すべきです。しかし、組織にとって本当に必要な人材を定着させたいのであれば、情緒的コミットメントと規範的コミットメントに目を向け、対策を練る必要があるでしょう。
・参考
第2章 コミットメント:組織コミットメント、ジョブインボルブメント、キャリアコミットメント、職務満足(労働政策研究報告書No.147 pp.218-262)|労働政策研究・研修機構
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