エフェクチュエーション
エフェクチュエーションとは?
「エフェクチュエーション」とは、優れた起業家に共通する思考プロセスや行動様式のことをいいます。インド人の経営学者サラス・サラスバシー氏が、著書『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』のなかで提唱しました。それまで一般化できないと考えられてきた起業家の思考を体系化し、学習可能なものにしたことで注目が高まりました。
5年後、世界はどうなっている?
エフェクチュエーションは予測不可能な時代の方法論
エフェクチュエーションへの注目が高まっている背景には、不確実性が高まる現代において、従来の方法では物事がうまく進まないことが多くなっていることがあります。大企業を中心に取り入れられている目標設定型の逆算的アプローチは「コーゼーション」と呼ばれます。「売上年間10億円」「東証一部上場」といった目標を掲げ、それを達成するための最適な方法を後から決めていく方法です。
しかし、変化の多いこの時代に数年先まで見通すことは困難を極めます。サラス・サラスバシー氏によれば、現代で活躍する起業家に共通していたるのは、目標ありきではなく、手段をベースにした思考プロセスでした。求める結果から逆算するコーゼーションではなく、手持ちの手段からスタートし、それらを使って何ができるかを考える。これがエフェクチュエーションです。
エフェクチュエーションは、以下の五つの原則から構成されます。
・手中の鳥の原則
新しい方法ではなく、既存の手段を用いて何かをつくること
・許容可能な損失の原則
損失が出ても致命的にはならない許容範囲のリスクをあらかじめ設定すること
・クレイジーキルトの原則
形も柄も違う布を縫い合わせて1枚の布をつくるクレイジーキルトに例え、顧客や競合他社、従業員などをパートナーと捉え、一丸となってゴールを目指していくこと
・レモネードの原則
酸っぱくて使い物にならないレモンに工夫を凝らして、甘いレモネードを作る(=価値を持つ製品へと生まれ変わらせる)こと
・飛行機の中のパイロット原則
前出の四つの原則を網羅した原則でもあり、不測の事態に備えて、状況に応じた臨機応変な行動をすること
これまで主流だった目的ありきのコーゼーションは、未来は予測できるという前提のもとに成り立っています。意思決定や姿勢が一貫しやすいというメリットがある一方で、予測が外れたときの軌道修正も大きなものになりえます。状況を臨機応変に判断しながら結果をデザインしていくエフェクチュエーションは、これからの時代の経営戦略として注目を集めそうです。
もっと知りたい方はこちら:
優れた起業家が実践する「エフェクチュエーション」不確実性の高い時代にイノベーションを起こすための仕組みとは|吉田 満梨さんインタビュー
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