OODAループ
OODAループとは?
「OODAループ」とは、見通しの立たない状況において目標達成をするための意思決定方法です。アメリカ合衆国の戦闘機操縦士であり、軍事戦略家でもあるジョン・ボイド氏が提唱しました。「OODA(ウーダ)」は、「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」の頭文字を取ったもの。想定外の状況や先の読めない環境において、特に力を発揮します。最も有名な業務改善のフレームワーク「PDCAサイクル」に代わる手法として、近年注目されています。
不確実で変数の多い環境において
力を発揮するOODAループ
OODAループの提唱者であるジョン・ボイド氏は、19歳で軍に入隊し、朝鮮戦争などで戦った人物。ジェット戦闘機「F-86」のパイロットとして22回の戦闘に出ています。刻一刻と状況が変わる戦場。一瞬の迷いや判断の遅れが、命の明暗を分けます。ボイド氏自身が経験した航空戦での洞察を基に、指揮官のあるべき意思決定プロセスを理論化したのがOODAループ。戦場での経験から生まれただけあり、機動性に優れていることが特長です。
それでは、PDCAとOODAにはどのような違いがあるのでしょうか。PDCAは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(検証))「Act(改善)」の頭文字をとったもの。かつてのビジネスシーンでは、経験や勘に頼った非合理的な意思決定や、無計画な実行がありました。そのような時代に、PDCAは計画を立てることの重要性と、確実に実行に移すためのプロセスを世の中に浸透させました。PDCAのなかでも、「Plan(計画)」が全ての中核を担うため、最も重要なフェーズだと言われています。Planの段階で方向性を誤ってしまえば、それ以降のフェーズで巻き返すことは難しくなります。
そういう意味で、PDCAは「予想外の事態に弱い」という弱点がありました。不確実で変数の多い現代においては、Planをもっと綿密に行うべきなのです。一方、OODAは、意思決定を下す前に「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」という二つの段階が設けられています。あらゆる情報を収集し、データを分析・整理しながら仮説を立てるのです。OODAは状況判断の精度を高めることに重きを置いているため、ニーズに対する整合性が増し、柔軟な判断が求められる現代に向いていると考えることができるでしょう。
しかし、PDCAとOODAでは、それぞれが力を発揮するシーンはまったく異なるため、単純に比較して優劣をつけることはできません。制約や前提条件がある環境下や業種によっては、PDCAは有効なフレームワークです。PDCAサイクルをいくら回してもプロジェクトが上手くいかないなどの課題があれば、OODAループを取り入れるなど、状況に応じて使いわけてみてはいかがでしょうか。
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