近年は人手不足の影響で、企業における採用の難易度が高くなっています。そのため採用を急ぎ、候補者の職務経歴や職務遂行能力のチェックが不十分で、後々大きな問題が発生するケースも少なくありません。このような問題を防ぐために有効なのが「採用前調査」です。調査の必要性や留意すべき点について、採用前調査件数で国内トップレベルの実績を誇る株式会社イーストアンドウエスト代表取締役 手塚賢一さん、訴訟などの紛争案件に関して豊富な経験を有するアンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 弁護士の上田潤一さんにうかがいました。
- 上田 潤一さん
- アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 弁護士
2001年東京大学法学部卒業、2004年弁護士登録、2012年米国ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)卒業(LL.M.)、2013年米国ニューヨーク州弁護士登録、同年英国ロンドン大学(University College London)卒業(LL.M.)。経営法曹会議会員、国際法曹協会(International Bar Association)会員。国内外の様々な業種の依頼者の労働案件、一般企業法務案件、危機管理案件、データ保護規制案件等を幅広く取り扱うほか、訴訟等の紛争案件についても、豊富な経験を有する。
- 手塚 賢一さん
- 株式会社イーストアンドウエスト 代表取締役
警視庁を退職後、2003年にイーストアンドウエストを設立。イーストアンドウエストはバックグラウンドチェック (採用前信用調査、リフェレンスインタビュー)を専門に行っている信用調査会社で現在までに約100万件の調査を手掛けており、東京商工リサーチのシェア調査では、6年連続でナンバーワンの評価を獲得。
コンプライアンス意識の高まりもあって、採用前調査のニーズが増加
手塚さんは採用前調査の必要性をどのようにお考えでしょうか。
手塚:採用前調査には大きく分けて二つの意味があります。一つ目は、不正を行った候補者が得をして、真面目な候補者が損をすることは公正ではないため、それを防ぐこと。当社の基本的な考えでもあります。二つ目は、問題がある候補者の採用を見送るゲートキーパーの役割として、以前在籍していた会社にインタビューやヒアリングを行い、事前に防衛することです。
実際に、企業からのご相談は増えていますか。
手塚:近年、当社の受注数は前年比で120%の増加を維持しています。特にコロナ禍が収束して以降、依頼が増加傾向にあります。コロナ禍前は、調査の結果、問題を抱えた社員が発覚するケースが多い状況でした。現在では、コンプライアンス意識の高い企業からの依頼も増えていて、問題が発生する確率は以前より低くなっています。いずれにしても、候補者の同意を得て公正な調査を行うという意識が広がっていることが、依頼増加の背景にあると考えています。
続いて上田さんにうかがいます。どのように採用前調査を行えば法的に問題がないかを教えてください。
上田:企業には採用の自由が認められていて、候補者を採用するか否かは基本的に企業の判断に委ねられています。採用前調査も採用活動の一環として位置づけられ、原則として自由に実施することが可能です。ただし、候補者のプライバシーや個人情報、さらには個人の尊厳を侵害しないことが重要な前提条件です。
「採用前調査は違法ではないか」と考える企業は少なくありませんが、採用前調査自体が違法であるわけではありません。もっとも、その内容や方法などによっては、違法になる可能性があります。
イーストアンドウエストは、バックグラウンドチェック(採用前信用調査)・リファレンスインタビューを専門に行っている会社です。この分野では東京商工リサーチ社から、6年連続で国内ナンバー1の処理件数評価をいただいています(2019年~)。弊社が行う作業は、大きく分けて三つ。過去の職場への「ヒアリング」、履歴書が正しく書かれている事の「確認」、公開されている情報の「データ収集」の3点です。これらの情報を迅速に違法性なく収集し、「公平な採用」と「企業防衛」に貢献する事を責務としています。
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