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学び慣れていない人に“考えるチカラ”を  サービスの現場にも転用できるアスリート向け教育プログラムとは

注目の記事研修・人材育成[ PR ]掲載日:2016/09/13

「勝利」「記録」「順位」といった明確な目標を持つアスリートは、それを達成するためにいかなる努力や犠牲も惜しみません。しかし、そうした目標が所与のものであるせいか、新しい目標を自ら考え課題を設定し、解決するということがなかなかできない。そのため、現役引退後のセカンドキャリアにつまずく元アスリートも少なくありません。“自分で考える力”や“自立・自律性”の不足はアスリートだけでなく、広く日本の職場全体にまん延している問題であり、とりわけ人の能力に依存するサービス産業の生産性の底上げを妨げてもいます。こうした状況について、新産業創出や人材マネジメントが専門で、スポーツにも造詣の深い慶應義塾大学大学院特任教授の岩本隆さんと、アスリート向けの研修をはじめユニークな教育サービスを開発・提供している株式会社ホープスの代表取締役社長・坂井伸一郎さんに語り合っていただきました。アスリート向け教育プログラムがなぜ、生産性向上のヒントになるのか――旧知のお二人の対談は働くことと学ぶことの本質をとらえ、その未来を指し示しています。

プロフィール
岩本 隆さん
岩本 隆さん
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授

いわもと・たかし/日本モトローラ株式会社(現モトローラ株式会社)、日本ルーセント・テクノロジー株式会社(現日本アルカテル・ルーセント株式会社)、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータを経て、2012年に慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授就任。

坂井 伸一郎さん
坂井 伸一郎さん
株式会社ホープス 代表取締役社長

さかい・しんいちろう/複数のプロ野球球団、多数のスポーツ競技団体を顧客に持ち、またオリンピック選手、プロスポーツ選手、芸能人、政治家、経営者等の個人も口コミで密かに利用する人材成長支援会社「株式会社ホープス」の代表。「大切なこと」を「確実に定着させる」指導手法である「Sticky Learning®」の数少ない実践者として、最近ではサービス業を中心とした企業の、現場リーダー向け教育研修を中心に高い評価を得ている。

厳しい世界を極めたアスリートこそ“Π型人材”の有望な候補

坂井:私の記憶では、岩本先生と初めてお目にかかったのは、共通の知人を介して参加したミーティングでした。テーマは、アスリートのセカンドキャリアとそれをサポートする事業の可能性について。当社でもちょうど、プロ野球の日本ハムファイターズの選手たちに向けた教育プログラムの案件が始まろうとしていた頃なので、よく覚えています。そもそも岩本先生が、スポーツビジネスとかかわりを持たれたきっかけは何だったのですか。

岩本:いろいろな人とのつながりが重なり、ネットワークが広がって、気が付いたらいつの間にか、かかわっていたというのが実感です。今は特別顧問としてかかわっているドリームインキュベータ(DI)でスポーツ選手のマネジメント会社の経営支援に少し絡んだり、教えている大学のビジネススクールでも「スポーツ産業をテーマにして新しいビジネスモデルを考えなさい」といった課題を出したりしています。以前からで細々とやっていたことに、最近は、いよいよ本腰を入れていかなければならない感じになってきました。

おそらくそういう時代なんでしょうね。名目GDPを現在の480兆円から600兆円まで120兆円増やすというのが安倍総理の政策ですが、日本ではそのうちの75%がサービス業です。75%ということは90兆円をサービス業で増やさなければいけません。その中に「スポーツ」も入っていて、興行という面では、まさにスポーツはサービス産業ですし、付随する関連サービスのすそ野も広い。今はスポーツ産業全体で5兆円くらいですが、これを15兆円まで引き上げようというのが国の政策課題にもなっています。

坂井:先生ご自身も、スポーツとの縁がとても深いですね。

岩本:昔は高校球児でした。私の友人が「浦和ボーイズ」というボーイズリーグのチームの代表を務めていまして、チームの運営にアドバイザーとして関わっています。埼玉県では一番人気があるチームで、コーチ陣や関係者に元プロ野球選手や、プロに限りなく近いような、すごいキャリアの持ち主が結構います。また、そういう環境やネットワークがあるせいか、元プロ選手から人づてに「何かいい仕事はありませんか」と、セカンドキャリアの相談を受ける機会も少なくありません。坂井社長は、テニスでしたよね。

坂井:はい。叔父(坂井利郎氏、往年の名テニスプレーヤーで、現在は日本テニス協会常務理事)の影響は大きかったと思います。私の父も競技こそ違いますが、大学時代にライスボウルで優勝したアメリカンフットボールの選手でした。いわゆるスポーツ一家に生まれて、叔父をはじめ一流のアスリートを間近に見て育ったという経験が、私のルーツであることは間違いありません。そういうアスリートたちの能力やポテンシャルのすごさを、小さい頃から身をもって体感してきているからこそ、その秀でた部分を、一つの競技の枠だけで終わらせてしまうのはもったいない。競技とは違う分野で同じように秀でることができるのではないかという思いを、私自身、強く持ち続けてきたわけです。

岩本:それは「T型人材よりΠ(パイ)型人材※」という議論にも通じますね。専門性の軸はやはり一つより二つ、二つよりも三つあったほうがいい。いくらその道を深く極めた人でも、軸が一つだけだと、なかなかそこから守備範囲が広がっていきません。まして最近は、どの業界も成熟してしまって、その業界の中には、ビジネスの“解”がないと言われていますから。スポーツという厳しい世界を極めたアスリートなら、もう一つ別の世界を掘り下げて、新しい専門性の軸を確立することもできるでしょう。「Π型人材」の候補として有望だと思います。そもそもホープスさんのルーツには、その最高のロールモデルがいらっしゃいますよね。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授 岩本隆さん 対談の様子

坂井:おっしゃるとおりです。ホープスの創業者である野村るり子は、もともと体操競技でオリンピック出場を目指していたアスリートでした。

※「T型人材」とは、特定の分野を究め、その深い専門知識と経験・スキルの蓄積を自らの軸に据えつつ、さらにそれ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を併せ持っている人材のこと。アルファベットのTの文字のタテ棒を専門性、ヨコの棒を視野の広さに見立てて、こう呼ぶ。「Π型人材」とは、複数の専門分野に精通し、かつ全体の調整もできる人材のこと。

従来のセカンドキャリア支援には“教育”や“戦力化”の視点がない

坂井:しかし彼女は、日本の教育環境になじめずに、15歳で単身渡米。アメリカの高校、大学で体操を続けるものの、選手としての将来に限界を感じ始めていたタイミングで、ベラ・カロリーとマルタ・カロリーというコーチと出会い、彼ら夫婦の下でオリンピック選手を育成する仕事に就く機会を得ました。祖国ルーマニアから亡命していたカロリー夫婦は、あの体操界の大スター、ナディア・コマネチを育てあげた名伯楽です。

その指導方法は、野村いわく「ショッキング」なもので、とにかく楽しみながら自然にできて、すぐ身につく。今日教えたことが今日できて、明日は全員が次のステージに進めるようになる。そういう教育を体操の現場で実践していたそうです。その指導方法を吸収した野村は、帰国後もオリンピック委員会指定体操クラブで選手の育成にかかわっていましたが、「体操を通じて培ってきた自らの教育ノウハウをより幅広く人材育成に生かせないか」と考え、ハーバード教育大学院へ留学。EdM(教育学修士)を修了し、2000年12月にホープスを設立しました。アスリートとタレントを対象に、短期間で、確実に目標を達成するための教育プログラムを提供する、これがホープスのビジネスのルーツです。残念ながら、野村自身は3年半前に51歳の若さで亡くなりましたが、縁あって、私がその遺志を継ぐことになりました。

岩本:なるほど。長くトップ選手の育成の現場にいらっしゃった野村さんの創業の志と、その後を受けた坂井社長ご自身のアスリートに対する強い思いが重なったところに、「アスリート向け教育」というビジネステーマがあるわけですね。

坂井:「アスリート向け教育」の延長線上で、私は、アスリートのセカンドキャリアを支援していこうという思いを強く持っています。野村はアスリートを引退後、セカンドキャリアをうまく歩めた一人ですが、もっと多くのアスリートがアスリートならではの目の付けどころや能力を生かしたセカンドキャリアを歩めるのではないかと考えています。

アスリートのセカンドキャリア支援については、10年ほど前から大手の人材ビジネス各社も力を入れ続けていますが、必ずしも成功しているとは言えません。私が見る限りでは、どこも職業紹介がメインで、支援内容が「現役を引退してセカンドキャリアがうまく築けないようなら、次の就職先をあっせんしますよ」というところに偏りすぎている。つまり、アスリート自身に対する学びの提供や教育、人材育成といった視点が抜け落ちているのです。

岩本:それでミスマッチが起こったら、採用した会社も、元アスリートも不幸ですね。適応できずにすぐ辞めてしまうケースが増えて、悪循環にもなりかねません。先ほど言われたように、一つの競技を極めたアスリートには高いポテンシャルが備わっているわけですが、だからといって、就職先だけあっせんすれば、そのポテンシャルがそのまま異なる分野でも生かせるかというと、それは難しい。やはり人材としての付加価値を高める意味でも教育の提供が必要ですし、その機会は早ければ早いほどいいでしょう。

坂井:ただ、そこにもう一つ問題があります。アスリートとして現役で頑張っている選手たちに、「いずれ引退するんだから、今のうちから将来のことを考えておきましょう」と言っても、夢を追いかけて挑戦を続けている彼らにしてみれば、余計なお世話。そこで私はよく、お客様にこう申し上げるのです。「子どもに嫌いなニンジンを食べさせるために、親がニンジンをすりつぶしてペーストにして、大好きなクッキーに練り込んで、食べさせる。それと同じで、現役選手が最も関心のある競技人生、つまりファーストキャリアを充実させるために有効な教育が、そのまま引退後のセカンドキャリアにも生きてくる、まるで“ニンジンが練り込まれたクッキー”のような教育サービスこそが、彼らには必要なのです」と。私たちが開発・提供し、現在、複数のプロ野球球団やさまざまなスポーツの競技団体などに採用していただいている「アスリート向けの教育プログラム」こそが、まさにそれなんです。

株式会社ホープス 代表取締役社長 坂井伸一郎さん 対談の様子

スポーツを含むサービス産業の生産性はなぜ高まらないのか

岩本:少し話が逸れますが、冒頭に、スポーツはサービス産業であり、スポーツで日本のGDPを10兆円増やすことが国の政策課題になっているという話をしましたね。数字上では、10兆円上げることは実はそんなに難しい話ではありません。世界全体の GDPに占めるスポーツ産業の割合は大体3%で、日本は1.5%ですから、日本のスポーツ産業をグローバルスタンダードに合わせるだけで10兆円ぐらい増えるわけです。逆に言えば、日本はそれだけスポーツにお金が回っていない、世界でも稀有な国だということでしょう。アメリカだと、アマチュア野球にさえかなりお金が回っていますが、日本では甲子園であんなに集客があるのに、お金になっていない。「スポーツに商業主義を持ち込むのはけしからん」といった精神論がはびこっているからです。

スポーツにお金が回ることを妨げている、こうした固定観念は実はスポーツだけでなく、スポーツ産業を含むサービス産業全体に通底しています。日本人にはいまだに「サービスはタダ」という固定観念が根強い。それこそが、日本のサービス産業の生産性が上がらない大きな要因だと思います。サービスの価値をきちんと評価し、それに見合う対価を払わないから、お金が回っていかないのです。サービスがより評価されるためには、当然、それを提供する側にも、付加価値を高める努力や工夫が求められるでしょう。そこはまさに人の問題であり、教育の問題。日本がサービスで稼ぐためには避けて通れません。

坂井:サービス業の付加価値、特にそれを担う人材の付加価値をどう高めるかという問題には、私も特別な関心を持っています。というのも私自身、新卒から35歳までは百貨店の高島屋に勤務していまして、特に退職する直前の3年間は営業企画のポジションでしたから、売り場の生産性向上に向き合わざるをえませんでした。百貨店の付加価値を高めるといっても、品ぞろえはバイヤーの担当ですし、ファシリティーとかロケーションといった話になると経営企画の領域で、私は口を出せません。そもそも今は、何でもすぐに陳腐化してしまう時代ですから、品ぞろえや施設の目新しさだけに持続的な付加価値を見出すこと自体が難しい。

岩本:結局は、売り場を支える人の問題に行き着いてしまう、ということですか。

坂井:そうなんです。百貨店は質の高いサービスが求められる小売業ですから、付加価値を高めようと思ったら、現場の販売員がどれだけサービスの質を高めて生産性を上げられるか、人の問題にたどりつくわけです。ところが百貨店の売り場には、社員もいれば、パートもいる、テナントからの派遣社員もいる。雇用形態も、仕事に対する意欲や意識、ライフステージや人生観もバラバラの集団を、教育や人材育成というアプローチで一つの方向にまとめて底上げしていくのが、営業企画としての私の役割の一つだったわけですが、残念ながら、当時は満足な成果を上げることができませんでした。

サービス業的な要素の強い現場で働く人たちは、必ずしも勉強が得意な人材ばかりではありません。大半の人が、そもそも「学び慣れていない」というか、学びを自己成長につなげるためのある程度のリテラシーといったものを十分に持ちあわせていないのが実態です。そこに対して提供される教育の内容が、まるで成長意欲満々のホワイトカラー人材をマネジメント層に引き上げるためのプログラムのようなものでは、最初の取っ掛かりすらつかめないのも無理はないでしょう。

岩本:選ばれたトップエリートを伸ばすだけでなく、現場の一人ひとりを底上げしていかないと、サービス業全体の生産性は向上しません。「学び慣れていない」人たちに対しても、何らかの学びのソリューションが必要になりますね。

対談の様子

“考えるチカラ”をいかに身につけさせるか

坂井:学び慣れていない、学びの“構え”ができていないという点において、サービス業の現場で働く人たちの問題は、現役アスリートの問題と共通する部分がある、つまり、二つの問いには共通の解が存在すると、私は考えています。そこで当社では、試行錯誤の末に開発したアスリート向けの教育プログラムを、サービス業を中心とする企業向け研修にも転用する取り組みを始めました。

岩本:御社のアスリート向け教育プログラムが、サービス業の人材育成にも使えるのは、どのような共通点があるからですか。

坂井:プログラムのタイトルでもある「考えるチカラ」、これをいかに身につけるかという一点に尽きます。だから当社では、ケースメソッド、ケーススタディを徹底的に行います。たとえば、野球のこういうシチュエーションではどう考えればいいのか、チームの勝利のためには自分は何をすべきか、と。学校の勉強のような正解はありませんが、とにかくそれを考えて、議論し、その奥にある「構造」に気づいてもらうよう導くわけです。スポーツでも考えることをしなければ勝つ確率は高まらないし、うまくなるまでの時間も短縮できません。ケースメソッドの訓練を重ねて、「考えるチカラ」を身につけて「構造」に気がつけば、過去の経験や知識を応用しながら、ゲームのあらゆる状況に対応できる。引退後、セカンドキャリアで別の仕事に就いても、それは必ず役立つはずです。サービスの現場でも同様で、同じ商品やサービスを扱っていても、お客様が変われば、シチュエーションも変わります。ですから、そこで働く人々にも、表層的なスキルやノウハウではなく、アスリートに伝えているような、より本質的で、より応用の利く「構造」に気がつく学びを伝えていかなければなりません。それが「考えるチカラ」なのです。

岩本:今ケースメソッドという話がありましたが、ビジネススクールの授業がまさにそうです。「経営」に関しては実はまだ完全には“学問”になっていない、理論化されていないと言われています。つまり再現性のある法則がないんです。だから、実際に経営の現場で、何が頼りになるかというと、どれだけたくさん考えたか――「累積思考量」「累積経験量」と言われるもので、経営判断の際は、それをもとにパターン認識しているわけです。何千、何万と考えたことがある中から、これならあのパターンでいけそうだというふうに。私の授業でも、徹底的にケーススタディを積み重ねています。

坂井:今のお話を自分たちに当てはめてみると、当社がアスリートに向けた教育プログラムのノウハウを応用して、サービス業を中心とした企業に向けて行っている研修は、絶えず変化する現場で社員一人ひとりが自らの力で最適解を導き出すための「累積思考量」を増やす取り組み、だと言えそうですね。

対談の様子

岩本:新しい状況で新しい問題に直面したとき、「累積思考量」が足りなくてパターン認識ができないと、あたふたするだけです。坂井社長に一つうかがいたいのですが、学び慣れていない人に向けて研修を行う場合、学びの内容はもちろんですが、それをどう効率よく定着させるかという点も苦心されるのではありませんか。たとえば、どんなに役立つレクチャーでも受講者が途中で飽きてしまったり、そのときは一生懸命考えたけれど忘れてしまったり……。

坂井:おっしゃるとおりです。学び慣れていない人たちにどうすれば学びへの興味を持たせることができるか。どうすれば実際に学びを受け取り、学習効果を記憶に定着(=インストール)できるか。そのメソッドも、「考えるチカラ」を身につけるための方法論と並ぶ、当社研修のもう一つの特色です。具体的には、当社が確立し、「Sticky Learning®」と名づけた学習方法を導入し、効果を上げています。「Sticky Learning®」とは、私たちが五感を通して情報を受け取ることや感情を伴う記憶は長期間持続すること、新しい情報は既存の知識と結びつくことにより記憶されること、繰り返し脳に刺激を与えることで記憶が定着していくことなど、脳と記憶の働きに着目しながら、学びの内容を受け取りやすく、かつ忘れにくくするためのノウハウを再編集し、蓄積したものです。

従来の研修と「Sticky Learning®」の比較
従来の研修と「Sticky Learning®」の比較
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“学び慣れていない人たち”を現場のリーダーに育てるために

坂井:ただし、「Sticky Learning®」は、画期的な新手法というわけではありません。たとえば一つのテクニックとして、五感を刺激して情報を伝え、記憶の定着を促すというやり方がありますが、何かを覚えるとき、手で書き、声に出して読むと覚えやすいということは、多くの人が経験的に知っているでしょう。そうした既存のノウハウや経験則のようなものも、一つひとつ脳科学の知見で裏付けながら、研修プログラムの随所にちりばめていくのが当社の「Sticky Learning®」のスタイルです。

例えば某プロ野球球団の若手選手向け研修では、最初にレジュメを配ります。しかしレジュメでありながら、そこにはその日のテーマも、講師の名前も書かれていません。あえて空欄のままにしてあるのです。そこに講師が「今日はこういうテーマです」といって板書した内容を、自分で見て、空欄に書き写すところから、50分間の研修が始まるわけです。先に印刷したものを配ると、そこに全部書いてあるからということで、その場でじっくり内容を読んだり、頭に入れようとしたりしません。学びに積極的でない受講者なら、なおさらです。

岩本:今、「50分」とおっしゃいましたが、その中で何かメリハリをつけるのですか。

坂井:50分というのは私たちが多くのアスリート教育の場で推奨している研修一コマの長さです。これは、高校の授業の長さを目安に設定しています。プログラムの構成という意味では、15分という単位を一つのユニットとして構成するのが「Sticky Learning®」の基本です。記憶が持続する時間や情報の内容を反復して記憶を定着させるのに効果的な時間ということを考えると、一つの課題や活動につき15分という長さが限界です。その仕組みを応用し、15分単位の学びの固まりを組み合わせて、プログラムを設計するのが効果的だと、われわれは考えています。50分の研修であれば、15分×3ユニットでの構成で、そのテーマをしっかり記憶に定着(=インストール)させることを狙うわけです。

岩本:「15分ルール」は、私もよく聞くので、大学の講義で個人的に実践しています。15分ほど私が話したら、次の15分はディスカッションの時間にあてるなどしています。今の説明を聞いて、そうか、脳の持続時間と関係があったのかと合点がいきました。私の研究スポンサーでもメガネチェーン店の「JINS」は、事業の急拡大に人材育成が追い付かないので、スマホを使ったモバイルラーニングで従業員教育をやってみたところ、効果がありました。そのコンテンツもすべて15分以内でつくられています。モバイルだから軽くしようという理由で15分以内にしたそうですが、通勤時間や休息中などのスキマ時間に学べて、結果的に学習効果の面でも有効だったといいます。何を学ぶかはもちろん重要ですが、これからの人材育成においては、「学びやすい」「学び続けやすい」といったことも大きな要素になりそうですね。

坂井:同感です。もっと手軽に学べるとか、多くのことや最先端のことは学べないけれど、大事なことは確実に身につくとか、そういう学習価値観を必要とする企業や人材が今後はますます増加してくると、私も思います。企業の人材戦略においては、マネジメント層の育成という課題が叫ばれて久しいわけですが、10年前、20年前と比べると、この階層の人材はそれなりにそろってきています。むしろ今、喫緊の課題として捉えなければいけないのは、充実してきたマネジメント人材と現場との間をつなぐ「リーダー人材」の育成です。いくらマネジメントが優れていても、リーダー階層が薄く、マネジメントと現場との間がいわゆる“文鎮型”になってしまっては、組織は円滑に機能しません。リーダー人材は現場に近いポストであるため、中途採用など外部からの導入が難しく、多くの場合現場から育てる必要があります。パートや契約社員でも、現場の経験が豊富なら有望なリーダー候補者。ただ、そういうメンバーからリーダー人材を育てるのに、マネジメント人材を育てるのと同じ方法論をもってしても、うまくいくはずがありません。「学び慣れていない」人もたくさんいるのですから。ここに必要なのは、まさに“ニンジンが練り込まれたクッキー”のような教育サービスなのです。われわれが、サービス業を中心とした企業から頼りにされて、研修後には高い評価をいただけている理由が、そこにあるのだと考えています。

岩本:今回、坂井社長とお話しして再認識したのですが、マクロの視点で考えると、ファーストキャリアとセカンドキャリアとの接続の問題に悩んでいるのは、あるいは今後悩まされるのは、どうもアスリートだけではなさそうですね。現在日本では、「1億総活躍」のスローガンが喧伝される一方で、社会保障財政のひっ迫から、「PPK」(=ピンピンコロリ:健康寿命を伸ばして、亡くなる直前まで元気で活動すること)が推奨されています。日本が「誰もが死ぬまで働き続ける社会」になるのは、それほど遠い未来ではないかもしれません。そうなれば、一般のビジネスパーソンも今在籍している企業や、ポストの中でファーストキャリアを磨きながら、次のセカンドキャリアにも役立つことを、早くから学び、身につけていく必要があるでしょう。企業にとっては、そうした学びの機会をきちんと提供できることが、人材確保・人材定着の面で大きなアドバンテージになる可能性もあります。スポーツ選手の成長支援を通して学びの定着(=インストール)を考え続けてきたホープスさんの視点やメソッドには、これからますます注目が集まるはずです。

坂井:ありがとうございます。ご期待に応えられるよう頑張ります。

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