ハードシップ手当
ハードシップ手当とは?
「ハードシップ手当」とは、海外赴任の際に起こりうる不安や負担を軽減するために支給される手当のことです。日本国内の転勤の場合、利便性に多少の差異はあれ、一定以上の治安やライフラインは保障されています。しかし、海外赴任の場合には必ずしも日本と同水準の快適な生活を送れるとは限りません。電気やガスの供給に食品の安全性、治安や衛生面など、生活環境をスコア化し、ハードシップレベルに応じた金額を支給することで、駐在員の納得感の向上も期待できます。
ライフラインや治安、衛生
「生活の困難さ」に見合った額を支給
従業員に海外赴任を命じたとき、その国の「生活における困難さ」を反映して支払われる、ハードシップ手当。導入している企業では、日本と同水準の大都市へ赴任する場合には手当がさほど高くなく、生活を送るのが困難な地域であればあるほど、高くなることが多いようです。
では、何を基準にして、どの程度の手当てを支給すればよいのでしょうか。企業の規定によってさまざまですが、組織・人事分野のグローバルコンサルティングファームであるマーサージャパンは、ハードシップ評価スコア化の根拠として、10カテゴリー(自然災害、戦争・政情不安、犯罪、隔離度、病気・衛生、病院、住宅・住環境、教育施設、レクリエーション、生活物資)に分類・数値化しています。また、『労政時報』が、現地法人もしくは海外支店・駐在員事務所を有する企業を対象に2015年に行った調査によると、ハードシップ手当を支給している企業は全体の72%で、支給金額はインドへの赴任者で平均122,596円(最高262,500円・最低20,000円)、中国で平均48,128円(最高150,000円・最低9,000円)、ブラジルで平均67,900円(最高185,000円・最低10,000円)でした。
ハードシップ手当は、海外赴任そのものに対する手当ではなく、あくまで赴任先の情勢に応じて支払われる手当。そのため、赴任先の情勢が変われば、支給額も当然変動してきます。数年前まではライフラインの整っていない途上国だったのに、数年のうちに発展し、大都市レベルの利便性になった場合には、最初に決定した支給額から手当てを下げることもあります。その際、受け取る側が減給と捉えてモチベーションを低下させてしまわないよう、導入する際は、何に対する手当なのかを事前にしっかり周知し、意識をすりあわせておく必要がありそうです。
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