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【ヨミ】オーケーワイ OKY

「OKY」とは、「O(おまえが)K(ここへ来て)Y(やってみろ)」の略で、企業の海外駐在員たちの間で一種の隠語として使われている言葉です。現地の事情を知らずに、日本から無理な指示や要求ばかり送ってくる上司の無理解や、現地側と本社側との意識のギャップを象徴しています。発祥の経緯は不明ですが、経済のグローバル化や国内の少子高齢化を背景に、海外進出に活路を求める日本企業が増えるなか、異文化への適応に悪戦苦闘するビジネスパーソンの心の叫びとして広く知られるようになってきました。
(2017/4/28掲載)

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OKYのケーススタディ

日本人駐在員が手を焼く新興国の“異質性”
本社側にこそ求められるグローバルマインド

「OKY」という言葉がいつ生まれたか、正確なことはわかりませんが、一説によると、在インドの日系企業でつくるインド日本商工会のメンバーの間で流行したのが始まりだといわれています(日本経済新聞電子版2013年1月1日付)。2008年のリーマンショック以降、中国やインド、東南アジア諸国を中心とする新興国市場が“世界の成長センター”として認識されるようになり、そうした市場へ本格参入する日本企業が増えるにつれて、現地駐在員の間で「OKY」が飛び交う頻度も高まっていきました。

要因の一つは、新興国市場の特性でしょう。先進国の視点からするとあまりに異質で、日本式の経営やビジネスの手法はもちろんのこと、かつてグローバルスタンダードとよばれた欧米中心の一律的なアプローチでは太刀打ちできないことが、実際に参入を進めるにつれて明らかになっていったのです。言葉だけでなく、常識も違えば、職業観や商習慣、仕事の進め方も違う。インフラ整備は遅れ、ビジネスに関する法制度も地域によってバラバラ。国内でなら当然守られるはずの、約束や納期が守られない……。「OKY」という隠語が広がった背景には、そうした過酷なビジネス環境に手を焼いて、現地のスタッフや取引先を思い通りにハンドリングできない日本人駐在員の苦労がありました。

しかし要因としてもっと大きいのは、その苦労を日本の本社が理解していないこと、あるいは理解しようとしないことではないでしょうか。例えば、先にOKY発祥の地としてインドを挙げましたが、実際、日系企業にとってインド市場参入の壁は想像以上に高く、インド人独特の嗜好(しこう)や消費傾向、複雑かつ高コストな流通構造などに阻まれて、1年~2年で撤退する企業も少なくありません。ところが日本国内では、インドもアジア市場の一部と見る向きが多く、タイや香港、シンガポールなど日本企業が比較的古くから進出している地域と同列視しがち。「他ではうまくいっているのに、なぜインドでは成功しないのか」と、本社の上層部から現地のトップが叱責されることもよくあるといいます。

そんなとき、心の中で叫ぶのが「O(おまえが)K(ここへ来て)Y(やってみろ)」――。海外進出を成功させるためには、異文化に適応できる柔軟性とメンタルタフネスに優れたグローバル人材を現地のリーダーとして送り込むことが必須ですが、それだけでは足りません。送り出す本社側にも、文化、嗜好、制度、価値観などあらゆる違いをつねに意識し、現地の出来事を“自分事”として捉えるグローバルマインドセットが求められるのです。

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