嫁ブロック
嫁ブロックとは?
「嫁ブロック」とは、既婚男性が妻に転職や独立を反対、阻止(ブロック)されることをいいます。もともとは企業の採用担当者やヘッドハンターなどが使っていた業界用語で、内定を出しても妻の“ブロック”で採用が失敗に終わることを言いましたが、昨今の転職市場の拡大にともない、一般にも広く知られるようになりました。ある転職支援サイトの調査によると、35歳以上の男性ユーザーの四人に一人が「嫁ブロック」を受けた経験があり、その半数近くが「嫁ブロック」を理由に内定を辞退したと答えています。
収入ダウン!? 夫の転職に強烈な“待った”
妻に反対されると半数近くが内定を辞退
転職市場の拡大が続いています。日本経済新聞社が4月にまとめた採用計画調査(最終集計)によると、2016年度の企業の中途採用数は3万6219人と、前年度に比べて9.0%増える見通しです。しかも伸び率は14年度が7.7%、15年度が8.7%と3年連続で拡大。大卒や新卒採用の伸びに陰りが見られる一方で、ITや建設業界などの成長分野を中心に即戦力を求める傾向が強まっているほか、バブル崩壊後やリーマン・ショック後に採用を抑えた影響で手薄になってしまった中堅層を補おうとする動きもあるようです。
かつて“氷河期”に不本意な就職を余儀なくされた世代にとっては、キャリアの好転をはかる絶好のチャンスといえるでしょう。ところが、そんな転職にかける夫の夢も、妻のツルのひと声でご破算になるケースが増えているといいます。中途採用でせっかく内定が出ても、男性候補者が「妻が反対しているので」という理由で辞退したり、転職活動自体をあきらめたり。こうした現象を「嫁ブロック」といいます。
エン・ジャパン株式会社が、運営する人材紹介会社集合サイト『ミドルの転職』のユーザーを対象に「嫁ブロック」に関するアンケート調査を行なったところ、転職を希望するミドル(35歳以上)の男性の四人に一人が「嫁ブロック」を経験していることがわかりました。そのうち、「嫁ブロック」を理由に内定辞退したことがある人は44%に上っています。「嫁ブロック」の理由として最も多かったのは「年収が下がるから」(42%)で、以下「有給休暇の取得率が低いから」(26%)、「転職先の企業や業界にあまり良い噂を聞かないから」(26%)と続きます。
人材紹介会社クライス&カンパニーの代表でヘッドハンターの丸山貴宏さんによると、夫の転職に「嫁ブロック」をしかける妻は専業主婦がほとんどで、共働きの場合は少ないといいます。それは、自分も稼いでいるので収入の心配がないからではなく、企業で働くことを通じて会社や仕事の本質を、妻自身が肌身でわかっているからです。
また、妻に黙って転職活動を続けていたために、採用の最終盤に来て、猛烈な「嫁ブロック」に遭うケースも少なくありません。先のアンケート調査では、活動を始める前から日頃のコミュニケーションを十分にとり、互いの価値観や思いをすり合わせておくことが、「嫁ブロック」を避けるためにも重要という声も上がっていました。こうした状況を受けて、最近では妻ら家族向けの採用説明会を開く企業も現れるなど、「嫁ブロック」が企業側の採用手法にも影響を与えつつあります。
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