企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】エンマンタイシャ 円満退社

「円満退社」とは、会社に就業していた労働者がその職を退く際、使用者との労働契約を双方の合意のもとに解除することをいいます。本来、そうした労働契約解除の形態を指す言葉ですが、より一般的な解釈としては、これまで勤めてきた職場の上司や同僚などにも納得・理解を得た上で、円滑な職務の引継ぎを経て、わだかまりなく職を離れるといった意味合いで使われることがあります。民法上、退職の意思表示は退職日の14日前までに行うことと定められていますが、基本的にはその会社の就業規則などに従い、残務整理や引継ぎの見通し、会社や部署の状況などを勘案した上で、無理のない退職スケジュールを立てることが円満退社のカギといわれます。

(2015/3/23掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

円満退社のケーススタディ

快く送り出すことが企業にもメリット
“形”だけの円満か、不満と向き合うか

ビジネスパーソンが転職を成功させるためには、いまの会社を『円満退社』することが鉄則と、キャリアコンサルタントはみな異口同音に強調しますし、多くの転職支援サイトなどもそう主張しています。理由もおおむね同じ。一つは、以前の勤務先を円満退社し、転職してもその会社との関係が良好であれば、その人脈やネットワークが仕事上の大きな武器になるからです。また、前の会社と、取引先や提携先として再び関わることも少なくありません。そういうときこそ、退き際の好印象――以前の上司や同僚に「彼は最後までよく頑張ってくれた」と評価されるような辞め方がものをいうわけです。

逆に、トラブルやわだかまりを残したまま、前の職場を辞めると、本来なら転職先でも活かせるはずの有望な人脈やチャンスまで失ってしまうことに。特に一部の企業には、中途採用者の評価や評判を前の勤務先に問い合わせるという旧弊が、いまでも残っているといいます。もちろん個人情報保護の観点から、人事情報が安易に開示されることはまずありえませんが、同じ業界内の転職であれば、噂が広まりやすいのは確か。災いの種は残しておかないに限るのです。

このように円満退社が求められる事情は、退職者だけでなく、その従業員を送り出す側の企業も同じではないでしょうか。辞めてからも退職者との関係が良好なら、その元社員に、自社と転職先の企業や業界とをつなぐ懸け橋の役割が期待できますし、そうでなければ、自社への不満や恨みから周囲に悪評を広めるなど、害を及ぼしかねません。労使が退職で合意した以上、退職予定者が職場で不利益を被ったり、引継ぎや残務処理で過度の負担を強いられたりすることのないように、むしろ快く送り出すべきでしょう。

ただ、円満退社とは言いながら、転職する以上、実際にはほとんどの人が仕事や職場に何らかの不満を抱えているわけです。中途採用支援サイトを運営するエン・ジャパンが、退職経験のあるビジネスパーソンを対象にアンケート調査を行ったところ、退職経験者の約半数が「会社(人事)に伝えた退職理由は本当の理由ではなかった」と答えています。会社に伝えた退職理由のうち最も多かった回答は「家庭の事情」で、2位「仕事内容」、3位「体調の問題」と挙がっていますが、ホンネの退職理由をたずねると、会社に伝えたタテマエの理由では6位だった「人間関係」が1位に浮上。2位に「社風や風土」が続きました。さらに「なぜ会社(人事)にホンネの退職理由を伝えられなかったのか」という質問には、「円満退社したかったから」の回答が最も多く、不満を抱えながらも“立つ鳥跡を濁さず”ですませたい退職者特有の心情がうかがえます。

会社が、こうした退職者のホンネにきちんと向き合うことなく、ただ円満退社の“形”だけを取り繕うような対応を続けていては、いずれ失いたくない人材まで失うことになりかねません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

競業避止義務
「競業避止義務」とは、労働者は所属する企業と競合する会社・組織に就職したり、競合する会社を自ら設立したりするなどの競業行為を行ってはならないという義務のことです。一般に在職中は、労働契約における信義誠実の原則にもとづく付随的義務として競業避止義務を負うとされ、また取締役は会社法365条により、在任...
サラリーマン法人化
会社員が法人成りして自営業者に変わり、会社との雇用契約をいったん白紙に戻して、改めて業務委託契約を結ぶこと。つまり、サラリーマン法人化した「元」社員は、会社での仕事はこれまでと同じまま、契約だけ変えて勤務することになります。会社は、雇用契約した社員=個人に給料を払うのではなく、業務委託した社員=法...
カウンターオファー
「カウンターオファー」とは、本来は契約交渉に関する言葉で、売り手の条件提示(オファー)に対して、買い手が条件修正の申し込みを行うことをいいます。それが転じ、人事用語として使われる場合は、退職を希望するビジネスパーソンに対して、会社が「昇給」「仕事内容の見直し」などの新しい条件を提示し、退職・転職を思...

関連する記事

後向きな理由から始まる、前向きな転職理由
人材紹介を行うにあたって欠かせないのが、転職を希望する人たちとキャリアアドバイザーとの直接面談だ。そこで最初に確認するのが、転職後のミスマッチを防ぐための最重要ポイントとなる「転職理由」である。そして、ほとんどの転職が最初は「ネガティブな理由」から出発している...
2016/02/01掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
潰れない会社を探して転職に失敗しつづけていた人材 潰れそうな会社から転職した人を採用しなかった企業
世の中には引越しが好きという人もいるが、全体から見れば少数派だろう。転々とするよりも、基本的には落ち着きたいという人がやはり多いからではないだろうか。引越しが好きな人よりももっと少ないのが「転職が好き」という人だろう。近年は、一つの会社に一生勤めあげたいという...
2006/08/28掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
内定が出ても「転職成功」まではまだ半分 求職者が越えなければならないハードルとは?
在職しながら転職活動を行う場合、今勤めている会社を円満退職できるよう、準備を進めておく必要があります。即戦力として期待される中途採用の場合、新しい職場では出社を首を長くして待っているのが普通。退職交渉、引継ぎなどにあまり時間がかけられない状況の中で、思わぬアク...
2012/07/09掲載人材採用“ウラ”“オモテ”

関連するQ&A

定年退職時の退職金
お世話になります。 定年退職時の退職金支給について質問させてください。 退職金規定支給表に自己都合、会社都合がある場合、定年退職の場合は会社都合支給でよろしいのでしょうか? 
退職願の会社様式について
現在勤務する会社には会社様式の退職届があり、そこに転職先(会社名・住所)を明記するようになっています。同業他社に行く場合なども考えられるので会社として知りたいのはわかりますが、会社の書式に転職先を明記するよう義務づけることは問題ないのでしょうか?
退職について
いつもお世話になっております。 弊社の就業規則の中で、退職を申し出て承認されたときに退職が出来ると明記しております。 実際に、法律上では退職を会社が認めない場合は、本人から退職は出来ないのでしょうか? 現在、社員がすでに次の会社に転職が決まっているので、早く会社に退職を受理して欲しいと訴えていますが...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 雇用 ]
インターンシップを効果的に実施するポイントと 外部ソリューション活用のヒント

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


インターンシップを効果的に実施するポイントと外部ソリューション活用のヒント

インターンシップの効果的な実施について、種類や取り組み事例、外部サービス活用のヒントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


新しいエクスペリエンスの時代へ- タレントデータの活用と働き方の未来 -

新しいエクスペリエンスの時代へ- タレントデータの活用と働き方の未来 -

タレントデータの一元管理や活用はもとより、いま、企業人事にも、社員一人...