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【ヨミ】カセツシコウ 仮説思考

「仮説思考」とは、目標達成や問題解決のために、限られた情報からとりあえずの仮説を立て、その仮説を実行・検証・修正することにより、効率的に最適解を導き出す思考法のことです。情報やデータを網羅的に収集・分析し、現状がすべてわかってから行動を起こしていたのでは、激しい環境の変化やビジネスのスピードに対応することはできません。どんなに判断材料が乏しくても、まずはおよその“あたり”をつけて動き出し、行動する過程でその“あたり”の精度を補正しながら、できるだけ早く正しい解決にたどり着こうとするのが「仮説思考」の考え方です。

(2015/2/24掲載)

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仮説思考のケーススタディ

網羅的な情報の収集・分析は時間のムダ
仮説→検証の繰り返しで効率的に解を導く

夕方におむつを買う男性はビールも買う――。1990年代にアメリカから伝わった“おむつとビールの法則”というエピソードがあります。あるコンサルタントがドラッグストアの販売データを見ていたところ、夕方17~19時の時間帯に、おむつとビールをいっしょに買う男性客が多くいることに気づきました。これを受けて、ドラッグストアがおむつとビールを同じ棚に並べて販売してみると、売上が増加。真偽は定かではありませんが、妻におむつのお使いを頼まれた夫が、自分への“ごほうび”にビールも購入したということだと解釈され、データ分析の有用性を端的に示す成功事例として語り継がれているエピソードです。

もし情報やデータの類が何も与えられていなかったら、「おむつとビールがいっしょに売れる」という特殊な相関が見出され、「だから同じ棚に並べる」という行動に結びつくことは、まずあり得なかったでしょう。その意味ではたしかに、情報やデータを収集し、分析することの価値は小さくありませんが、一方でこうした“発見”はきわめて偶発性が高く、ある種、宝探しみたいなものでもあります。ましてや市場の変化の速度も激しさも加速度的に高まっている現在、ただ漫然と、大量の情報を集めて分析さえすれば、そこに何かしら、有益な解決策や問題解決のヒントが見つかるのでは、と期待するのは楽観的に過ぎます。そこで必要になるのが「仮説思考」の考え方です。

ビジネスパーソンの多くは、日々劇的に進行する情報化の只中にいるだけに、「問題解決のためには情報は多ければ多いほどいい」と考えがちでしょう。しかしともすると、情報の収集・分析自体が目的化し、その作業に没頭してしまうことがあります。それではいつまでたっても意思決定にいたらず、本来の目的である解決策の実施にまでたどり着けません。たとえば「売上が伸びない」という問題ひとつをとっても、商品力、サービス、プライシング、競合との差別化など、考えられる原因は多岐にわたりますが、それら一つひとつについて網羅的に情報を集め、分析し、検討していたのでは、加速するビジネスのスピードに乗り遅れてしまいます。現状分析が十分でなくても、思い切って手持ちの判断材料だけで一定の“結論”(=仮説)を先に設定し、その仮説から逆算していくことで、真の結論を導き出すのが「仮説思考」。仮説を用いることで、余分な情報に振り回されるタイムロスを排除し、より早く、より効率的に最適解にたどり着ける点が最大のメリットです。設定した仮説が間違っていても、仮説→実験→検証→修正を繰り返すことによって精度が高まり、正解により近い仮説として進化していきます。最初にどれだけ“スジ”のいい仮説を立てられるか、その精度をより高めるサイクルをどれだけ素早く回せるかが、問題解決の質とスピードの差につながっていくと考えられます。

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