ホリゾンタル・リーダーシップ
ホリゾンタル・リーダーシップとは?
「ホリゾンタル・リーダーシップ」とは、タテの上下関係や指揮命令系統よりも、ヨコの連携や協力関係を重視するリーダーシップのあり方をいいます。組織・部署の壁を越えて多様な人材を連結し、ホリゾンタル(水平方向)なネットワークを機能させることで目標達成に取り組むのが特徴です。ホリゾンタル・リーダーシップにおいては、地位や権力、個人のカリスマに頼んで人を従わせるかわりに、相互理解と効果的なコラボレーションを図るための共感力やコミュニケーションスキル、論理的な思考能力などの資質が求められます。
組織の枠にとらわれないリーダーシップ
人の上に立ちたくない女性こそ資質あり
組織を取り巻く環境の変化に応じて、リーダーシップのトレンドはさまざまに変化しています。リーダーシップといえば、これまではカリスマ型のリーダーがビラミット型組織をトップダウンで強力に統率する、支配型のリーダーシップが一般的でした。これに対し、むしろ組織ピラミッドを逆さまにして、リーダーが縁の下からフォロワーを支援するスタイルも提唱されています。「サーバント・リーダーシップ」と呼ばれるリーダーシップのあり方です。支配型と支援型ですから、リーダーシップの質自体は真逆ですが、いずれもピラミッド型の組織の枠組みを前提とし、リーダーが上から、あるいは下から、バーティカル(垂直方向)に影響力を行使するという点では共通しています。
「ホリゾンタル・リーダーシップ」がこれらと最も異なるのは、自分の組織のピラミッドだけにとらわれず、むしろその枠を越えて、タテよりもヨコへ――人と人、組織と組織とのホリゾンタル(水平方向)なつながりをリーダーシップ発揮の基盤としている点です。
企業経営を取り巻く競争や環境変化が激しさを増す中、意思決定にはよりスピードが求められています。顧客ニーズの多様化・細分化も進む一方です。いかなる組織も自らのビラミットの中だけで、こうした複雑な事態にフレキシブルに対応していくことは、ほぼ不可能といっていいでしょう。組織や部門間の垣根は必然的に低くならざるを得ません。多様な専門性を持つ人と組織が臨機応変に連携・協力し、それぞれの自主性と責任に基づいて課題解決に取り組めるよう、リーダーはメンバー間の調整と環境整備に尽くす――ネットワーク型の組織マネジメントが主流になっていく可能性は大きいと考えられます。こうした時代に必要とされるのが、ホリゾンタル・リーダーシップなのです。
従来のリーダー像を念頭に、「自分はその器ではない」と思い込んでいる人もいるでしょう。特に女性が管理職への昇進に消極的な場合、その理由に「リーダーとしての資質への不安」を挙げる人が多いようです。しかし、企業がホリゾンタル・リーダーシップを重視するようになれば、逆に女性リーダーだからこそ、力を発揮できる場面も増えてくるのではないでしょうか。ホリゾンタル・リーダーシップに求められるのはトップダウンの意思伝達ではなく、共感型・調整型のコミュニケーションスキル。一般にそれは、女性の多くが得意とするところだからです。
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