人活支援サービス
人活支援サービスとは?
「人活支援サービス」とは、豊かなスキルと経験を有するミドル人材を成熟産業から成長産業へ円滑に移動させる“橋渡し役”となる人材サービスのことです。経済産業省は人活支援サービスを提供する新たな産業の振興を目指して、今年度から「多様な『人活』支援サービス創出事業」をスタート。同省から委託を受けた人材サービス各社がミドル層を成長分野で戦力化するしくみを動かし、その有効性を実証する試みが始まっています。
ミドルを再教育し成長分野で戦力化
新しい人材の橋渡しビジネスに期待
社会・経済環境の変化を背景に、国内産業の大胆な構造転換が急がれていますが、経済成長や雇用の確保を図りながらこれを実現するためには、豊かな経験知をもつミドル層が成熟分野から成長分野へ“即戦力”として円滑に移動し、活躍するしくみづくりが不可欠です。2013年6月に発表されたアベノミクスの“第三の矢”を担う「日本再興戦略」においても、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」の方針が明確に掲げられました。
しかしながらミドル層(35~44歳)の転職率は他の年代に比べて低く、4%程度で推移しているにすぎません。まして有望分野や成長分野への移動となると、成功の前例が乏しく、新規産業の人材ニーズが的確につかめていないなど障壁が多いことから、既存の人材ビジネスではこうした新たな人材の橋渡し役を果たせていないのが現状です。そこで経済産業省は、すでに就業経験を積んだミドル人材を再教育し、健康や教育、環境・エネルギーなどの成長分野で活躍できるようにする「人活支援サービス」の創出・振興事業を立ち上げました。新たな労働移動の流れを促すモデルをつくり、その有効性を実証・普及することで、人を活かす「人活」産業の創出・振興を図るのがねらいです。
サービスの担い手は委託先の民間企業8社。その一つのインテリジェンスでは、電機や化学などの成熟産業で経験を積んだミドル人材が現職に在籍したまま、「出向」の形態で成長分野に挑戦するプロジェクトの実現に向けて、7月から出向元となる協力企業の募集を始めています。協力企業から送り出された参加者は再教育のための「学び直しカリキュラム」を受講し、業種や職種の垣根を越えて通用する「ポータブルスキル」を高めます。その上で成長分野での活躍に必要な専門知識を習得し、出向先の現場での就業体験に臨みます。研修終了後は、カウンセリングを受けて進路を決定。出向先での継続就業や転籍のほか、出向元への帰任という選択肢もあります。
人材派遣大手のパソナとグループ会社のパソナテックも委託先の一つ。主に製造業やIT企業に在籍するシニア・ミドル人材の豊富な知識やスキル、海外事業に携わった経験などを転用し、成長分野を担う中小・ベンチャー企業の新たなサービス創造や海外事業の拡大を支援するプロジェクトに取り組んでいます。
新しい市場を切り拓いていくためには若年者の育成・入職支援も重要であることは言うまでもありませんが、一方で少子高齢化によって日本の労働者の年齢構成比率が変動し、00年に22%超だった25~34歳人口は20年には16.8%にまで低下するという現実があります。即戦力となるミドル層の労働移動は、喫緊の課題といえるでしょう。
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