企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ウーマノミクス ウーマノミクス

「ウーマノミクス」とは、「ウーマン」(女性)+「エコノミクス」(経済)を組み合わせた造語。ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジストであるキャシー・松井氏が1999年から提唱している概念で、女性の活躍による経済の活性化、働き手としても消費者としても女性のパワーがけん引する経済のあり方を意味します。安倍政権が成長戦略の一環として女性活躍を推進する方針を打ち出したことから、あらためて注目を集めています。
(2013/8/9初回掲載)

ウーマノミクスのケーススタディ

女性が男性並みに働けるとGDPが最大15%増
労働力としても消費の担い手としても期待

2013年4月、安倍晋三首相は自身の経済政策「アベノミクス」の、いわゆる“第三の矢”である成長戦略として、女性の雇用拡大を強力に推進する方針を打ち出しました。その背景にあるのは、日本の労働市場に依然として残る男女間格差。首相も自ら「日本で最も生かしきれていない人材は女性」だと厳しい認識を示しています。

ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井氏が初めて「ウーマノミクス」に関するレポートを発表した1999年当時、日本の女性就業率(15~64歳の女性人口のうち、フルタイムもしくはパートタイムで雇用されている人の割合)は57%でした。それが、2011年には60%と過去最高に達したものの、上げ幅は12年間で3%と伸び悩み、他の先進国と比べると、日本は依然として下位に低迷しています。日本にとりわけ顕著な特徴は25~44歳までの女性労働人口が欠けていること。いまなお日本人女性のおよそ7割が第一子出産後に退職するという、他国には見られない傾向があるためです。

そもそもこうした雇用格差を是正するための論拠として、経済効果や経済活性化を持ち出す必要があるのかという議論もあります。女性の労働環境を整備しなければならないのは、女性にその待遇を受ける権利があるからであって、当然のことをするのにそれ以外の理由づけはいらないというわけです。とはいえ日本社会においては、その“当然のこと”をおろそかにしてきたばかりに、変化への適応が遅れ、経済面でも競争力低下の危機に瀕しているという事実は否めないでしょう。

今後に目を向けると、出生数が05年時点の4割の水準にまで落ち込むことで、日本の総人口は55年までに約3割縮小。生産年齢人口は半分に、高齢者人口は逆に倍増すると予想されています。こうした危機への対応策として、女性の力で経済を活性化させようとするウーマノミクスの有効性は明らかです。女性は減り続ける生産年齢人口を補うだけでなく、多様な視点やアイデアによってビジネスに付加価値をもたらす存在であり、消費の分野でも過去数年におよぶデフレ期において男性より堅調な購買力を維持した実績があります。

ゴールドマン・サックス社の試算によると、2017年時点で67%程度にとどまっている女性就業率を男性並みの83%に近づけ、かつ国内の男女の労働時間格差をOECD平均まで改善させることで、日本の就業者数は約580万人も増加し、GDP(国内総生産)は最大で15%の押し上げ効果が得られます。「日本はウーマノミクスによる経済の押し上げ効果が先進国の中では相対的に大きい国の一つである」と、同社は結論付けています。

・参考

ウーマノミクス5.0(ゴールドマン・サックス証券)

 

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

なでしこ銘柄
「なでしこ銘柄」とは、東京証券取引所(以下、東証)と経済産業省が女性人材の活用に積極的な企業を選定し、投資家に紹介する取り組み、および選ばれた東証一部上場企業を指す呼称です。名称の由来はサッカー日本女子代表のなでしこジャパンから。企業側に女性活用の推進を促すとともに、日本株の魅力をアピールし、個人...
ポジティブ・アクション
Positive Action。積極的格差是正措置。男女間の差別を解消して、働く意欲と能力のある女性が活躍できるように、企業が自主的に行う取り組みのことです。
ガラスの崖
「ガラスの崖」(glass cliff)とは、2004年に英エクセター大学のミシェル・ライアン教授とアレックス・ハスラム教授が提唱した造語で、「ガラスの断崖」「ガラスの崖っぷち」とも訳されます。業績が低迷し、危機的な状況にある企業では、男性よりも女性が、リーダー的な役職や幹部に起用される傾向にある...

関連する記事

首藤若菜さん 「男性の職場」に進出した「女性」の働き方 
現業職場を中心に、体当たりで労働の現場を調査してきた首藤さんに、男女の職場を統合していく難しさについてうかがいました。
2006/06/19掲載キーパーソンが語る“人と組織”
人事マネジメント「解体新書」第69回 新・女性活用時代―― いま改めて注目される「女性活躍推進」について考える(前編)
アベノミクスの成長戦略で、女性の活躍推進が打ち出された。日本社会において、女性の積極的な活用が経済的閉塞打開のカギを握る、というものである。周知のように、「女性活用」の重要性は以前から言われてきたが、なぜ今、改めて注目されることになったのか?この古くて新しいテ...
2014/04/07掲載人事マネジメント解体新書
香山リカさん 均等法世代の働く女性の結婚問題
仕事で自己実現を図っても、結婚していない女性は「負け犬」という厳しい見方をされてしまう風潮も出てきていますが、均等法から現在までの間に、働く女性の結婚観はどう変わってきたのでしょうか。『就職がこわい』『結婚がこわい』(ともに講談社)などの著書もある精神科医、香...
2005/10/07掲載キーパーソンが語る“人と組織”

関連するQ&A

女性採用の推進のための具体策
女性活躍推進法に則り、弊社では3割の女性を次期採用目標に設定しましたが、 現状は女性率1~2割弱で厳しい状況です。 応募者の割合も同等です。 効果的な対策を教えていただけないでしょうか。 ちなみに女性管理職はいません。
男女の制度の相違について
女性活用のために、なんらかの制度を新設しよう考えております。 最近、新聞等で「女性社員には、保育園費用として月5万円支給」とか、「男性社員が育児休暇を取得する場合には、2週間まで有給とする」等の制度をよく見かけます。 「女性には費用補助をするが、男性には補助なし」「男性は有給だけど、女性は無給」...
女性管理職の育児短時間勤務時間の取り扱い
女性管理職が育児短時間勤務制度を利用した場合、給与カットをしても良いのか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。