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【ヨミ】グループナイハケン

グループ内派遣

グループ内派遣とは?

「グループ内派遣」とは、人件費の節約などを目的に、大手企業が人材派遣会社を子会社として設立し、同社が親会社およびそのグループ企業各社に労働者派遣を行うことをいいます。2012年10月に施行された改正労働者派遣法(同年4月に成立)が、派遣会社に対して、系列企業への派遣割合を8割以下に抑えることを義務付けるなど、グループ内派遣に関する規制が強化されたことから、これを利用する企業グループには早急な対応が求められます。

掲載日:2013/01/11

グループ内への派遣割合を8割以下に制限
規制強化は派遣業界再編の起爆剤になるか

労働者派遣法では、今回の改正以前から、派遣元事業主が意図的に労働者派遣を特定の一社または複数社に限定して行うこと、いわゆる「専ら派遣」を違反行為として禁止していました。人材派遣が特定企業の労働力供給源になることで、正社員の雇用が阻害される上、派遣会社の本来の社会的使命である労働力の需給調整機能も果たされなくなるためです。したがって「グループ内派遣」においても、子会社の派遣会社がその親会社やグループ会社にだけ専ら派遣をすることを禁じ、専ら派遣が行われている場合には、派遣元に勧告することができるとしていました。

しかし実際には「何をもって専ら派遣と見なすか」という基準が曖昧で、親会社やグループ企業以外にも派遣先を求める営業努力が認められたり、グループ外からの派遣依頼を拒否していなかったりすれば、結果としてグループ内への派遣割合が100%になっていても、違反にはあたりませんでした。現に、厚生労働省が2008年3月に、全国の大企業グループ傘下の派遣会社259社を対象に実施した調査によると、グループ内への派遣割合が8割を超えている事業所は68.3%。100%グループ内だけに派遣している事業所も30%以上にのぼり、多くの企業で広くグループ内派遣のメリットを享受している実態が浮き彫りになっています。

今回の改正派遣法では事業規制強化の一環として、グループ内派遣に関する規制がより厳格化されました。グループ企業内の派遣会社が当該グループ企業に派遣する割合を8割以下に制限するとともに、派遣元事業主には、事業年度終了後3ヵ月以内にグループ企業への派遣割合を報告することが義務付けられています。

この8割規制が適用される「グループ企業」の範囲は、厚労省令で次のように規定されています。

(1) 派遣元事業主が連結子会社の場合(連結決算を導入している場合)
   ・派遣元事業主の親会社
   ・派遣元事業主の親会社の子会社
※ 親子関係は連結決算の範囲により判断

(2) 派遣元事業主が連結子会社でない場合(連結決算を導入していない場合)
   ・派遣元事業主の親会社等
   ・派遣元事業主の親会社の子会社等
※ 親子関係は外形基準(議決権の過半数を所有、出資金の過半数を出資等)により判断


またグループ企業への派遣割合については、以下の計算式で算出します。

● グループ内派遣の割合
=(全派遣労働者のグループ企業での派遣就業に係る総労働時間-定年退職者のグループ企業での総労働時間)÷全派遣労働者の総労働時間


規制強化の影響はすでに表れています。8割規制に抵触すると判断していちはやく対応したのが、事務作業が多く、それをグループ内派遣で賄ってきた大手銀行グループでした。三井住友、三菱UFJ、みずほの“3メガ”については、12年度末までに派遣事業から撤退、傘下の派遣会社から受け入れている派遣社員を順次直接雇用に切り替えていく方針です。今後、他の業界に“グループ内派遣の解体”の動きが波及するのは必至と見られ、派遣業界全体の再編が進むとの観測も広がっています。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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この記事ジャンル 派遣社員

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