ワークプレースメント
ワークプレースメントとは?
「ワークプレースメント」(Work Placement)とは“就労体験型学生派遣”のことで、企業が在学中の学生を一定期間、派遣社員として有償で受け入れ、学生のキャリアにつながる就労の場を提供するしくみを指します。インターンシップと違って報酬を受けとることができる上、通常のアルバイトでは経験できない実践的な職場体験が得られるため、学生の就業力の養成にも有効と期待されています。
実践的な職場体験で学生の就業力を養成
企業も採用時のミスマッチ解消に期待
「ワークプレースメント」という用語や制度そのものは、イギリスに端を発します。同国では一般的に、大学生などが在学期間中に企業や公共機関で職業経験を積むことをワークプレースメントと呼んでいます。日本で同義に使われるインターンシップという言葉は、法律家や医師など高度な専門性を持つプロフェッショナルの“見習い”を意味し、用語として区別されるのが普通です。
そもそもイギリスにおけるワークプレースメントは、1970年代に大卒者の就職状況が悪化したことを受けて導入されました。教育機関が企業と連携しながら学生の就業力の向上に取り組むしくみとして、主に理工学系や語学系の大学で制度化され、普及・定着しています。実施にあたっては、まず2年間大学で学業に専念し、次の1年間は企業での実習に充て、最後の1年は再び大学で学ぶというような“サンドイッチ方式”で行われることが多く、1年程度の長期にわたるのが伝統的なワークプレースメントの特徴です。しかし近年は、短期間のものも増えて、実施形態は多様化してきました。イギリスでは、在学中の生活費は自分で稼ぐのが当たり前。その面でも、報酬を得ながら就業力を磨けるワークプレースメントは学生にとって欠かせない制度になっています。
日本の大学生も、長引く景気低迷の影響で仕送りが年々減少しています。アルバイトとインターンシップ双方のメリットを融合させた、ワークプレースメントに対する彼らの潜在的ニーズは少なくないでしょう。現に、日本でも取り組みは始まっています。日本で実施されているプログラムでは、企業が直接学生を雇用するのではなく、派遣社員として職場に受け入れるのが特徴。もちろん在学中ですから、派遣とはいえ学業に支障の出ない働き方が基本になりますが、学生に提供される就業体験そのものはアルバイトより実践的で、正社員と一緒に営業、企画、マーケティングなどの実務が経験できる内容になっています。本人の姿勢次第では、即戦力としてのスキル修得も可能です。
企業側にも、自社や自社の業界に興味のある学生をワークプレースメントで受け入れるメリットは少なくありません。就業体験を通じて自社の魅力を学生に直接PRできる上、その資質や意欲をじっくりと見極めながらアプローチすることで、ミスマッチの少ない効率的なリクルーティングが可能になります。「学生の就業力向上のための社会貢献」に積極的な企業として認められ、CSR評価の高まりも期待できるでしょう。
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