在留資格
在留資格とは?
「在留資格」とは、日本に入国・在留する外国人に対し、その外国人が行う活動の内容などに応じて付与される一定の資格を指します。わが国の外国人労働者の受け入れは「出入国管理及び難民認定法」(入管法)が定める在留資格によって規制され、単純労働を目的とする入国・在留は認められていません。在留資格には27種類ありますが、外国人が日本国内で働くためには、基本的に就労可能な在留資格が必要になります。
2011年度 外国人留学生の採用見込みは倍増
在留資格の“緩和”傾向も獲得の追い風に
グローバル競争の激化や労働力人口の減少を見すえた人事戦略として、優れた外国人人材を採用・確保し、企業競争力を高めようとする動きが急速な広がりを見せています。2010年夏に株式会社ディスコが行った「外国人留学生の採用に関する調査」によると、10年度に外国人留学生を「採用した」企業は採用予定を含めても全体のわずか1割程度でしたが、11年度の採用見込みについては、「採用する」と答えた企業が21.7%とほぼ倍増。特に従業員1,000人以上の大企業では、3社に1社が採用を予定しており、外国人人材への高い期待が見てとれます。
以下に、企業活動に関係のある在留資格を挙げますが、企業が外国人を採用する場合は、どの在留資格をもって就労が可能かを分析する必要があります。せっかくコストをかけて採用したのに、手続きに瑕疵があったために在留や就労が認められなくなるような事態は避けなければなりません。
たとえば「留学」という在留資格をもって日本の大学で学んだ学生が、その知識を活かして日本企業に就職しようとする場合、在留資格の変更手続きを行わなければならないのです。ただし留学生の専攻と採用先の業務との相関性は、以前に比べるとゆるくなったといわれます。デザインを専攻していた学生がIT関連企業で働くために、「技術」の在留資格への変更が認められたという事例も出ています。在留資格によって学歴の証明や能力の担保など手間のかかることもありますが、採用担当者としては多様な人材を獲得するチャンスともいえるでしょう。
なお、09年の通常国会で改正入管法が成立しました。これにより12年7月までに、外国人研修制度の見直し措置や、従来の外国人登録証を廃止し「在留カード」を交付する新しい在留管理制度が順次実施されますので、留意が必要です。
【 企業と関係の深い在留資格 】
■ 投資・経営
日本国内で事業経営を開始する場合や、投資家として経営に関与する場合に必要となる在留資格
■ 人文知識・国際業務
○ 国内の公的機関や一般企業との契約に基づく業務において、法律学、経済学、社会学など人文科学の分野に関する知識を必要とする場合の在留資格
○ 外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする場合の在留資格
■ 技能
調理師やスポーツトレーナーなど、業務において産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を必要とする場合の在留資格
■ 技術
化学、電機、IT、理学、工学、その他の自然科学の分野に属する技術、または知識を必要とする場合の在留資格
■ 企業内転勤
日本に本店、支店その他の事業所がある外国人の職員が、期間を定めて日本の事業所で働く際に必要になる在留資格。法律、経営学などの人文科学の分野または物理、工学など自然科学の分野に属する知識を必要とする業務が該当。親会社と子会社および関連会社の間の相互異動についても「企業内転勤」に含まれる
■ 技能実習
日本の公的機関もしくは私企業などの機関に受け入れて、技術や技能、知識の修得を行う活動に必要な在留資格。以前は「研修」という在留資格に含まれていたが、外国人研修制度の見直し措置(10年7月施行)によって在留資格「技能実習」を新設。実務研修を伴う活動には労働法を適用し、労働の対価を支払って労働させることを可能にする。「研修」により技能を修得した者が、雇用契約に基づき、その技能を活かして引き続き就業することも可能に。
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