顧問
顧問とは?
「顧問」とは、企業やその他の団体が行う業務について、意思決定を行う権限は持たないものの、求められて高度な意見を述べるために置かれる役職のこと、あるいはその役職に就いている者を指します。もともと名誉職的な性格が強く、引退した元役員などを内部の常勤ないし非常勤の顧問に充てるケースが一般的ですが、近年は弁護士や社会保険労務士、各種コンサルタントなどの専門家に外部顧問として顧問料を支払い、専門的見地から指導や助言などのサービスを受ける企業も増えています。これを顧問契約といいます。
ニーズがあれば外部顧問はメリット大
ワンストップで幅広い相談に対応
社労士、中小企業診断士などの“士業”やコンサルタントのサービスを利用する企業にとって、定期的な顧問契約を締結するメリットは少なくありません。その第一は頼れる相談相手として、何か困ったことがあったらいつでも気軽に幅広く助言を受けられることです。
たとえば、人事労務関係の実務について社内で解決できない疑問やトラブルが生じた場合は、どこに問い合わせればいいのでしょうか? 所管の労働基準監督署、ハローワーク、全国健康保険協会や健康保険組合、年金事務所などから関係する行政機関をまず特定し、それぞれ個別にあたってみなければなりません。退職手続きをめぐる疑問なら、ハローワークか年金事務所、健康保険組合にそれぞれ確認するといった具合です。これも、日本の行政組織の“縦割り”の弊害にほかなりません。その点、社労士などと顧問契約を結んだ場合は、人材や職場に関する相談にすべてワンストップで対応してもらうことができるので、横断的かつ的確な答えが期待できます。また税金や財務関係は専門外ですが、研さんを積んでいる社労士なら、誰と組めばいいのかを知っています。つまり優れた顧問は、自分の中に答えがなくても、独自のネットワークやコネクションを活用してさまざまな相談に対応してくれるのです。
クライアント企業と外部の専門家との関係が密になり、相互理解が深まることも顧問契約の大きなメリットのひとつでしょう。継続的なコミュニケーションによって、外部顧問に、自社の考え方や組織の雰囲気、置かれている事業環境などを正しく把握してもらうことが効果的なアドバイスやコンサルティングにつながるからです。クライアントのメンバーの一員といえるほど関係が深まれば、ある程度の“無理”も利き、突発的な事故やトラブルが発生しても迅速な対応が望めますが、顧問契約でないとなかなかそうはいきません。
顧問料や契約のしくみは専門家によってさまざまで、費用対効果も相談の内容や活用する頻度によって変わってきます。ただ一般的な相場の範囲内で、自社のニーズにマッチする外部顧問と出会えたとしたら、それは「いつでも相談に乗ってくれ、適切な回答を示してくれる社員を低コストで雇った」のと同じ価値があると考えるべきでしょう。
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